数年ぶりに再視聴。
記憶に残っていたより面白かったです。
まず、オタクな主人公の声や仕草、言葉遣いや行動原理にリアルな気持ち悪さがあっていいですね。
中学生の時にこういう部活仲間がいました。自己否定しながら自分が大好きで、他者のことはより一層否定的に捉えている感じ。
人間味のようなものが他の人より顕著に見えていて嫌いじゃないです。
テーマになっている<若者のアイデンティティの確立>に関しては、『新世紀エヴァンゲリオン』がより抽象度も高く、素晴らしいクオリティで行っています。
比較してしまい、本作が劣っているように感じました。
本来なら過去作と比較する意味もないのですが、意識せずとも比べてしまい、結果的にこの作品の評価を下げました。
また、主人公は登場するヒロインたちに都合の良い妄想をしていく演出が頻発します。
この演出が非常に気持ち悪く、主人公の人格的な問題を顕著に表していてとても巧いと思います。
こういったコンテンツはサービスシーンが不可欠です。お色気の妄想シーンでその需要を処理し、現実ではヒロインたちからの好意は得られない方がリアリティがあったかなと感じます。
ハーレム展開よりも、気持ち悪い主人公を貫くか、最後で一皮むけたことで好意を得られる方が演出の効果が高いはずです。
その辺りに、まだ本作が作品として固まっていないような曖昧さがあります。
その点でもそこまで高評価は付けませんでしたが、これは視聴者である私の理解力不足もあるかもしれません。
とはいえ高校生の時に観たよりも、ずっと面白く感じたのでお得でしたね。
この内容なのにエンディングが爽やかで笑えます。