『ハードボイルド・レシピ』を見たことで「そういやこれ主題歌が眉村ちあきさんだったなあ」と急に思い出したのでレビュー。放送当時から知名度はそれほど高くなかったけど、なんやかんや結構好きだった作品。主役の女の子を担当する声優がかつてポニョを演じていた子役だったことにたまげたのが懐かしい。
ファミリー向けっぽいビジュアルに幾分かのブラックさが混ぜ込まれ、仄かにスパイスの効いたハートフルアニメとなっている。“飲み会大好き大学生の次女”や“嫌な上司の存在にストレスを溜めている長女”といったキャラ付け、絵柄の可愛らしさとは掛け離れた世俗性に溢れている。唐突にフォレスト・ガンプが引用されたときは笑った。
とはいえイラストレーターのカナヘイ氏による緩いキャラデザも相俟って、基本的にはほのぼのとしたユーモラスな作風となっている。鮮やかな色彩感覚や主線のはっきりしたタッチは可愛らしいし、ほわほわしたキャラクター達が動き回るアニメーションも良い。湘南を舞台とした海沿いの風景も爽やかな明朗さを演出している。本作の肝である地獄さんの存在も印象深く、彼が鬼神家の一員として徐々に馴染んでいく様子にはしみじみしてしまう。
タイトルにもなっている“ちみも”はマスコットとしてしっかり可愛らしいけど、なまじ地獄さんや三姉妹のキャラが強いせいで相対的に立ち位置が弱くなっている感も否めない。「おもち」「赤パン・青パン」「うめぼし」といった個々の独特なネーミングがやけに好き。
