るい

SHOGUN 将軍のるいのレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
5.0

真田さんありがとう🥹🪭


10話終わってしまった。何から書けばよいかわからんほど良かった。相変わらず長ーいので適当に読み飛ばして下さいな。

将軍は完璧に時代劇だった。でも海外の観客を置いてけぼりにしない、かといって日本文化の考証に妥協はない。

スタジオやショーランナーの理解、真田さんの俳優人生で学んだこと全て、それからその人脈をもって成し遂げられたこの偉業。さらにそれに応えた俳優陣とスタッフ。どこをとってもこのプロジェクトは大成功だったと言えるだろう。

虎永、鞠子、按針、この三人が話の中心である事は間違いないが、それを取り巻く人々の絶妙なアンサンブルがこの作品に奥行きをもたらす。1話で切腹お家断絶となった忠義でさえ、最終話にしっかり意味付けされる。登場人物誰一人取り残さない脚本に感服。

人々が順番に死んでいくからなんとなく人間の死に様のように捉えられるかもしれないが、この話は死ぬ事ではなく生きる事を描いた作品である。特に海外からは理解されにくいであろう日本人の生き様を丁寧に描いているのだ。

鞠子、藤、落ち葉、遊女の菊でさえ女の人生をたった10話の中でみせた。最初、女は男の所有物のようにうつるがそうではない。彼女たちには彼女たちの戦いと葛藤があり、日々を生きているのだ。特に鞠子と藤は自分を再構築していく。その過程はとても力強く多くの人を惹きつけたに違いない。この二人の絆は1話と10話で同じセリフを言う事で裏付けされる。

日本といえば「ちょんまげとチャンバラ」というイメージしか無いであろう海外に向けて、連歌、お茶、料理、人々の暮らしをアイコニックに表現していた事がとても印象に残る。日本人は言わない事が美徳とされている中で、言葉を重ねて伝える歌は本当に美しかった。歌はある人へ向けての暗号である。鞠子が落ち葉へ贈ったその言葉は石堂や籔重には届いていない。

美術関連について特に素晴らしかったのは衣装。カルロス氏のお仕事は細部に至るまで思いの詰まったものだった。真田さんの指示で生地は日本のものを採用、日本の衣装の歴史を勉強し、本物の着物を製作されている。

鞠子様の打ち掛けは最初無機質な白であるが、話が進むにつれてその打ち掛けに椿の花が咲く。それは鶴になり彼女が羽ばたける事を暗示する。ちなみに赤い椿の花言葉は「控えめなすばらしさ」「気取らない優美さ」「謙虚な美徳」である。

虎永の鎧は革で作られており、軽量化が図られると同時に革は加工がしやすく痛みの表現が容易になったとの事だ。真田さん曰く今まで着用した中で一番軽い鎧だったとの事。衣装も言葉を持つというのがカルロス氏の持論。

真田さんはインタビューでこういったささいな違いが大きな結果を生むと言っている。真田さんにおいていえば、7〜8年前よりオファーがありある条件下仕事を受けた。「日本人役は日本人に演じさせて欲しい。」しかし、プロジェクト自体は一進一退となる。数年後、ショーランナーにジャスティン氏がすえられ、真田さんにプロデューサーのオファーをした。もちろん快諾。そして長年時代劇を共に作ってきた日本人スタッフを雇用した。

現場での真田さんはとても働き者だったよう。誰よりも早く現場に入り、誰よりも遅く現場を出る。監督が来る前に衣装、セット、エキストラ、役者全ての確認を終える。撮影中も都度現場で修正を繰り返す。ジャスティン氏曰く「ヒロさんを探せゲームをしていた」とのことで、撮影開始時にフレーム内に真田さんがいないかチェックが必要だったほど。また、虎永の鎧兜をつけた状態で画面チェックをする姿もあった。そのため撮影現場には背もたれのない椅子が登場している。

真田さんのかねてからの夢である「東西の壁を壊し、橋をかけ、日本人をハリウッドに紹介する。正しい日本を世界の視聴者に届ける。そして東西の夢のチームを作る」これがまさに実現したことになる。

やりましたな殿。

演者も皆様素晴らしかった。今回はプロデューサーとして真田さんもキャスティングに関わられました。浅野さんはオファーとおっしゃっていたので真田さんの名指し指名ですかね。西岡さんはオーディション後の真田さんの指名ですね。

按針演じるコスモ・ジャービス。オリジナルでは按針がもっとぐいぐいくるのだが、今回はそうではなく、他のキャストとのバランスがとれとてもよかったし、彼の演技も素晴らしかった。

藤演じる穂志もえか。彼女が演じるこの藤は4話で頭角を表し、最後までとにかく魅力的であった。最初は死ぬって言ってたけど、最後は按針に鞠子さまが自分にしてくれた事をやってあげた。もえかさん、とっても可愛いだけではなくて、その中に燃える彼女の覚悟が伝わってきた。

鞠子さま演じるアンナ・サワイ。覚悟といえばこちらも。最初は強めのまり子だなと思ったが、その強さの中には語り尽くせぬ彼女の悲劇的な人生があった。紅天での彼女の務めは涙なくしては見られない。とても思慮深く聡明であった鞠子、真田さんも言っておられましたが本当に彼女にしかできなかったと思います。

樫木籔重演じる浅野忠信。いやー、彼は本当に面白かった、完全にクセ強キャラに仕上げてきた浅野さんに感謝。そして真田さんとの信頼関係たるや。最後の最後まで籔重殿は籔重殿であった。あっぱれです。この二人も作中、対になる同じセリフを言っています。公私共に切っても切れない関係ですね。

戸田広松演じる西岡徳馬。西岡さん、あなたがこの作品を時代劇にしてくれました!もうそれ以上何も言えません。虎永との関係性からの最後の結末。海外の人からしたら意味わからんかもだけど、あれが忠義というもんで、あれが信頼関係というもんで、あれが侍の生き様なんです。もう泣いた。思い出しても泣く。

吉井虎長演じる真田広之。「なっ!」で片付くが、少し書こう。真田さんの演技は言わずもがな素晴らしいのだけど何が素晴らしいかと言うと、1つの動作の中に10の演技があるほどに動作が美しい。何かを手に取る瞬間、何かを見る瞬間、しゃべる瞬間、目の動かし方、表情の作り方、小さい頃から体で演技する事を学んできたからこその説得力。セリフがなくても伝わってくる凄み、これができるのは真田さんだけです。孤高で最後まで何を考えているかわからないミステリアスな殿でございました。

この作品は、国の文化は正しく扱う時代にきている、本気で取り組んだ作品は人の心を動かす、知名度の高い役者だけが正義ではない、戦いは戦わずして勝つのだ、そして日本も時代劇作り頑張れ!という海外からの、そして海外で頑張る日本人からの盛大な応援歌であった。

ありがとう!!!

🍵こぼれ話🍵
〈ジャパンプレミア行ってきました〉
SNSでワーワー言ってたからか、応募したら二社からお前来んか!と連絡あった。ありがてぇですなぁ。めっちゃ近くで真田さんに会えて感無量だった🥹ちなみにフィルマ様は当たらなかったよ、こんなに一生懸命感想書いてんのに。笑

〈最終二話上映行ってきました〉
これまたSNSでワーワーいってたからか、とある会社さんから「おまえ イベント 来い」(意訳)って連絡きて応募せずとも招待を頂く神がかりな事がおこりました。神様仏様PR会社様ありがとうございます。

真田さんはNYの最終キャンペーン活動があるので帰国はありませんでしたが、あの作中に出てた巻き巻きしている文が会場に届いておりました🤭伝書鳩できたそうですNYから(無理やろ笑)
キャストの皆様は真田さんいつでもどこにでもいるので複数人いるんちゃうかって説が出ていたそうです。

〈記事より〉
スター・ウォーズへのオマージュとして、虎永の衣装はオビ=ワンのローブに近い色となっている。これは、当初オビ=ワンに三船敏郎がキャスティングされていたという賛辞とのこと。



最後まで読んでくれたあなたへ
もう少しだけどうでもいい事聞いて🤣

将軍ってさ……

招かれざる客
自然の脅威
沈む船
混乱する登場人物
悲恋

生かされた人と死んだ人
そして「ずっと一緒だ」と手放すロザリオ

これってさ
タイタニックですやん⛴️

最後になにゆーねん。
では、さようなら👋

次回はモータルコンバット2でお会いしましょう。
るい

るい