第45回 創作テレビドラマ大賞にて応募作
1047本の中から大賞に選ばれた船越凡平の『カントリーロード』を『家出娘』と改題して映像化。
先ず目立つのは、背景をぼかす映像。
これはiPhoneによる効果が大きいのか…
レンズを3つ搭載して背景をぼかす写真がスマホで簡単に撮影可能となる。これが弊害のような気がするのだが…背景をぼかすことによってプロっぽい写真が撮れたと悦に浸ってる輩が余りにも多い気がする。
そんな小手先の技術に頼るのではなく、空間を瞬間に切り取ることや、その構図でプロは勝負してると思う。
単純に背景をぼかせばいいと思ってる人は玄人ではないでしょ⁉︎
演出家の指示なのか、撮影監督の指示なのか、この責任の所在は定かではないのだが、余りにも、全編を通して背景ボケを多用していて単純に見にくいし、鬱陶しい。
背景をぼかすという基本の考え方は、見る側の視線を被写体に向けることで、その画面の中の主役は何なのかをはっきりとわからせることだと思うのだが…
ずっとぼかし続けてたら演出過多というか…主役は何なのか既に分かりきっているから単にクドイだけの演出になってしまう。
これを狙ってやってる?何の為に?
なんか背景をぼかせばエモいと勘違いしてるか、それをお洒落だと勘違いしてやってないか?
背景をぼかすことが広く一般化されるからこそ、プロにはそんな小手先のものに頼ってほしくないのだが…
とにかく背景ボケが悪目立ちしてしまい、それが障害となり、脚本が、物語が純粋に入ってこないという弊害が起きている。
主人公の関西弁の女の子はるかを演じた木村湖音は素晴らしいし、その辺にいそうなメイク薄めのファーストサマーウイカも朴訥な雰囲気がよく出ていてとてもいいのに背景ぼかしぼかしの所為で勿体ない。
2人が川べりを並んで歩く。
常に背景はボケているのだが、画面の奥を歩く女の子と、その手前を並んで歩く叔母の2人に、ピントが追いつかない。
これは顔認証でオートフォーカスにしてたのか?女の子と叔母へピントがいったりきたりする。これはある意味で衝撃的な映像。こんな素人レベルの映像を地上波で見ることになるとは…
創作テレビドラマ大賞の受賞作品なので、脚本家も新人だからと、局側でも演出家や撮影監督を新卒とか若手の経験を積ませるための仕事ととして捉えているのかな?と勝手に想像しないと納得できそうにない。
でないと…これはさすがに下手すぎる。
演出家が新人だとしても、撮影監督はある程度の経験がある人をもってこないと…どちらも新人だと何も気づかないのかな?
結局、編集したものをベテランがチェックしたところで、もう撮り直す時間もないどろうしね…そのまま撮ったものを使うしかないんだろうけど…
これをまさか、ある程度の経験ある人らが作っているとしたら…もうかなりヤバイと思う。テレビはもうすでに終わっていると云われているが…これは終末を見たのかもしれない。
撮影
岡野崇
演出
石塚嘉
この2人のどちらかですかね…
最後の最後まで、ずうっと見にくい映像が連続するというのも非常に稀な気がする。
有野晋哉が演じた田舎のオッサンもなかなかリアリティがあり、このドラマのキャスティングと演じた役者陣だけは素晴らしい仕事をしていたと思う。
字幕
「日本では一日平均10人以上の子どもが親を自死で失っていると推計される」