もうやん

この世界の片隅にのもうやんのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2018年製作のドラマ)
4.0
さすが日曜劇場、戦争中の画像の処理やセットがよくできていて、ただならぬ熱意を感じる。
キャストも最強の布陣だし、すずさんの母親役の仙道敦子の登場には正直ぶったまげた。
かつてのトレンディドラマのヒロインが久々の登場だった。
主役のすず(松本穂香)のちょっとボーっとして抜けた感じとか、周作(松坂桃李)とのちょっとぎこちないながら夫婦らしくなっていく感じ、りん(二階堂ふみ)との微妙な感じとかうまく演じられていたし、結構心の内面を押し殺したようなシーンが多かった中で、こと尾野真千子は本音をガンガンぶつける姉の径子を演じ、とてもメリハリがきいていて演技が光っていた。
ただ、ゴールデンタイムの自主規制なのか、径子の娘が亡くなるシーンとか、空襲を受けた街並みとか、きれいに納めすぎていてあまり悲惨さが伝わってこなくて残念だった。
戦争の悲惨さを描くなら、もうすこしリアリティのある表現があってもよかったのではないかと思う。
ただ、もう一人の主人公、節子(香川京子)の子供の頃の母親とのエピソードが描かれたシーンは、涙なしには見られなかった。
母親が目の前で死に朽ち果てていく姿を目の当たりにした節子の動揺と悲しみはいかばかりか、そしてそれでも一人生きていがなければならない現実。
あそこは心をグッとえぐり取られる思いがした。
総じて戦争の時代にも毎日を地に足を付けて生きた人々の日常が丹念に描かれていて、それがあの頃から見て未来である現在につながり、やがてまた未来につながっていくストーリーにホッとする暖かさを感じた。
もうやん

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