社会のダストダス

WAVE MAKERS ~選挙の人々~の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

WAVE MAKERS ~選挙の人々~(2023年製作のドラマ)
5.0
2023年ドラマ圧倒的ベスト!(そんなにたくさん観たわけではないが)、これは今年最後の満点作品になりそうかな。ほとんど配信限定ではあるけど、今年は例年よりは多めにドラマ作品も観ることが出来た気がします。

総統選挙を数か月後に控えた台湾、過酷な選挙戦が予想されるなか、公正党の選挙キャンペーンチームは次々と難題に直面していく。

台湾のNetflixオリジナルシリーズ。選挙活動を裏で支える選挙キャンペーンチームにスポットを当てた社会派ドラマ。死刑制度、不倫、同性愛婚、環境問題、移民問題、ハラスメント、リベンジポルノなど文明社会では避けて通れない問題を数々取り扱い、全8話の構成でウェイブ・メイカーの名前の如く流れに乗ればあっという間だった。

政党選挙キャンペーンチームが舞台ということで、真面目でお堅く陰気で狭くて臭い部署が舞台なのかと思ったら、若い!明るい!真面目!あ、真面目は真面目です。主役格の登場人物が多く様々な立場の視点から描かれるが、複雑な感じがせず脇役にいたるまで捨てキャラがいないのが凄い。

私の好きな女優ランキング、アジア部門において現在、覇権を争っているワン・ジンちゃん(王淨)が出演しているので気になっていた作品。はぁー…♡本当にお美しい。Netflixではワン・ジンちゃんの作品がたくさん観られるので一度にはレビューしきれないけど色々観ました。

台湾国民の政治への関心の高さが感じ取れる作品、社会的なテーマを数多く扱い、同じ題材でも最近のハリウッドが作ると思想的な圧を感じてしまうのに対して、本作は問題の提議が分かり易くて、カウンターの立場にいる人たちの事情もフェアに描かれているように感じた。

Netflixで世界に配信されているとはいえ、日本では全くの無名といっていい作品。キャストも『返校 言葉の消えた日』などに出ているワン・ジンちゃんくらいしか知らなかったけどみんな良かった。主役サイドの公正党選挙チームはもちろん、敵方の麻生太郎にちょっと似ている不倫オヤジですら味があった。

日本だと政治を取り扱った作品は陰湿な面が強調される作品が多いイメージで、ドラマで何時間分も観るのはちょっと遠慮してしまうが、リアリティを損なわない程度にコミカルな要素もあり、エンタメ作品として完成されている。こんなお祭り騒ぎだったら選挙も楽しそうだし、きっとやりがいも大きいはず、さすが投票率70%越えの国、政治に対する国民の熱さが凄い。

お目当てのワン・ジンちゃんは非の打ちどころがなく素晴らしい、視点人物の多いドラマだけど主役といってよかった。今後はとりあえずワン・ジンちゃん出てれば観たいくらいに今のところ出演作にハズレない。

出来ればシーズン2が製作されて欲しいけど、本作の総統候補役の人が実際に副総統候補として出馬したり、このドラマ自体が台湾でのMeToo運動に大きな影響を与えたことを考えると、検閲が入らないか少し心配になったりする。あまり偉い人達を怒らせない程度に斬り込んでいって欲しいところ(笑)