真一

ウォーキング・デッド3の真一のレビュー・感想・評価

ウォーキング・デッド3(2012年製作のドラマ)
4.0
 ほとんどの人間が死に絶え、ゾンビに転化した終末世界。ここは、国も自治体も病院も滅び去ったリアル地獄だ。こんな極限状況の下で、主人公リックの妻ローリーは妊娠する。全くの想定外の妊娠だ。中絶薬は手元にある。深まる苦悩と葛藤。私たちなら、どうするか。

 二つの思いが、ローリーの心の中で交錯する。

「未来がない子を生むなんて、間違っている。かわいそうすぎる」という思い。

「無駄な命なんてない。どんな苦難があろうとも、愛しいわが子に生きてほしい」という思い。

 私たちなら、どうするか。生むなら、拠点にしている不潔な刑務所の廃屋で出産するほかない。医師も看護婦もいない。頼りは小学生ぐらいの息子と、グレンの恋人マギーぐらいだ。夫はゾンビと格闘中。ちなみにお腹の子は、リックの親友シェーン(既に死亡)が父親である可能性もある。

 ローリーは検査キットで妊娠が判明した後、リックにも誰にも相談せず、1人で抱え込んだ上で結論を下す…

※ここから下、ネタバレあり。

 ローリーの選択は「生む」だった。現実を考えれば、無謀とも受け取れる。それでも、決断を下した後のローリーの表情は、晴れやかだった。ローリーは、人間として生きる道を選んだのだった。

 だが、そのローリーを、あまりに、あまりに残酷な運命が待ち受ける。ローリーは臨月を迎えても子宮口が開かず、絶体絶命に陥ったのだ。そこでローリーは、想像を絶する決断を下す。決断を聞かされ、青ざめるカールとマギー!その2人に「言った通りにして!」と命じるローリー!ここが、シーズン3最大のヤマ場だ。そしてローリーが「あなたに会えて良かった。愛している」と息子に伝えるシーンは、ウォーキングデッド全編の中でも屈指の感動シーンとして語り継がれることになる。

 理性と希望を追い求めると、必ず地獄を見るのが、ウォーキングデッドの法則。だが本作品は、何度間違えても人間として生きようとする登場人物に、深く感情移入できるようにつくられている。そこがウォーキングデッドの魅力だと感じる。

 ローリー役のサラ・ウェイン・キャリーズの名演技に泣かされました(´;ω;`)
真一

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