浅野公喜

傷だらけの天使の浅野公喜のレビュー・感想・評価

傷だらけの天使(1974年製作のドラマ)
4.2
新聞紙をエプロン代わりにして牛乳ビンの紙蓋を歯で取り、コンビーフの缶詰を食べる斬新なオープニング、菊池武夫手掛けるファッション、井上堯之バンドによるテーマソング等々が話題にもなった70年代を代表するドラマ。主演の一人であるショーケンことケンイチ・ハギワラが2019年3月に亡くなった後、その後を追うように「天気の子」にも登場したロケ地の代々木会館ビルが2019年8月から取り壊されたのも記憶に新しいです(取り壊し前何度も写真を撮りました)。

どこか退廃的な匂いを漂わせつつも時にエネルギッシュにコミカルに受けた依頼をこなす二人にしらけ世代の方々が嵌ったのも頷ける内容で、後追いとしては今テレビでは難しいであろうバイオレンスにカーチェイスやヌード、「相棒」のイメージが強いアキラ・ミズタニの若い姿、当時の渋谷・新宿をメインとした東京の街並みも新鮮で、深作欣二監督も一部エピソードを担当したからか同時期の東映映画のようなラフなカメラワークも雰囲気に合ってます。

好きなエピソードはボスであるキョウコ・キシダと画家の恋愛を描きつつ、その画家の愛人である女子大生の狂気が炸裂する第9話「ピエロに結婚行進曲を」、莫大な遺産相続人で二人の女性が浮上し、犠牲になった方の遺骨を田舎の祖母へ届けに行く第11話「シンデレラの死に母の歌を」、毎回恋が報われないアキラでも特に悲痛な展開が待ち受けている第19話「街の灯に桜貝の夢を」で、この19話は特に印象に残ってます。

ゲストも豪華で、エディ・マーフィの吹き替えの声でも知られるアトム・シモジョウ、カイ・アトウ、子役時代のシノブ・サカガミ、ゴスペル歌手且つボイストレーナーでも知られるユカ・カメブチ等々意外な人も出演。
浅野公喜

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