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最高の離婚Specialのslowのレビュー・感想・評価

最高の離婚Special(2014年製作のドラマ)
5.0
人生は走り書きで思い描くようなものじゃない。少しずつ、少しずつ、大胆になれなくても、慎重になり過ぎず、こんな未来を迎えに行けたら、そう願いながら、そう夢見ながら、描くものなんだって。うん。明日、誰かを好きになって、有頂天で眠りについたり落ち込んだり、自分次第の宝くじのような厄介さに一喜一憂し、すっかり願う事も忘れて、とっくに夢見る頃も過ぎて、気が付けば見たこともなかった場所をルーツに持ち、誰かと寄り添って、その人を家族と思うようになり、家族になろうって、決めて、少しばかり襟を正して畏まり、新たに受け入れなければならないことの多さを居座る不安が笑うから、めんどくさいところを褒め合ってみたり、かとなく機嫌をうかがってみたり、それは、例の宝くじへの未練かもしれず、膨らませ過ぎた期待と外れなのかもしれず、悔しいけど、手のひらどころかそういうの全部ちゃぶ台返すみたいにどうでもよくなって、片付けては散らかして、修復しては破壊して、心離れて、自らを追い込む自己嫌悪とか、痛みを知れば優しくなれると言う他人の声とか、裏切りとか、もう大体聞いてない。ただ誰にも、自分にも、これを後悔とは言わせない。人はひとつ信じられるものがあれば、信じたいものがあれば、それだけで良くて、突き進めて、特攻できて、打ち上がって、散りになれるから。だから、それ以外の拷問を甘んじて受けるんだと思う。そして、結局始めるのも終わるのも感情で、もっと丁寧に描くべきだったとか、もう大概聞いてない。うん。変わることはないから。だから、今こんなに苦しいのも、きっと次も苦しいのも、わかってる。わかってたんだ。
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