真世紀

大河への道の真世紀のレビュー・感想・評価

大河への道(2022年製作の映画)
3.6
千葉県の観光振興策を論議する会議。香取市の総務課主任(中井貴一)は郷土でチューケイさんと呼ばれ、親しまれる伊能忠敬の大河ドラマ化を提案。その案が知事の鶴の一声で動き出してしまう。知事の肝煎りで大河ドラマの脚本家にと指名されたのが近年は筆をとっていない大物脚本家(橋爪功)。日参して、何とか地元の記念館に足を運ばせるところまで持ち込む。しかし、取りかかった脚本家が指摘したのは、伊能忠敬の日本地図が完成したのは、その死後三年を経てからという事実。プロジェクトの金銭的な後ろ楯である幕府にも伊能忠敬の死を伏せて、弟子たちはどう地図の完成を成し遂げたのか。その秘話が、中井貴一ら市役所の面々が伊能忠敬の弟子らを演じる趣向で描かれる。

原作は立川志の輔の新作落語。主演の中井貴一の持ち込み企画で映画化。

時代劇、かつては例えば映画会社をあげてのオールスターキャストで取り組むのが王道だった忠臣蔵ですら、前世紀ですら例えば四谷怪談との表裏関係(「忠臣蔵外伝四谷怪談」)、近年ではその経済面(「決算!忠臣蔵」)なんて切り口での新趣向無しでは成立しない。伊能忠敬の歴史的偉業ではあるけれど(劇中の松山ケンイチ曰く、北海道少しずれてますけど)、地図製作という地味な題材をそんな新趣向方面から映画にしてみせた気概は買いたいところ。

ところで、この伊能忠敬による日本地図製作、もし本当に大河ドラマになるならと考えると原作になるのはおそらく、井上ひさし『四千万歩の男』な気がする(爆)。
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