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すずめの戸締まりのrのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.2

んー。。弱い。
これまで監督自身が築き上げてきたtheセカイ系の自己ブランドを正面から切り崩しにいくことでレベルアップを図ろうとしたのかもしれないけれど、実際にあった震災をこの作品に包括する技量は無いように思えたし、そもそも震災を扱う上で本当に向き合うべきものに向き合っているのだろうか、と感じてしまった。あくまでもこれは私個人の感想であって、監督がどういう制作プロセスを踏んで、その工程でどういった葛藤を抱いてきたりしたのかは一切無視した意見だけども、映画が映画である以上は、やはり映画そのものから得るもので勝負しなければいけないと思う。だから例え「でもインタビューで震災について監督はこう言っていて、だからちゃんと考えて作られてるんだよ」とか聞いたところで、結局ふーんに留まるというか(それは個人の新海誠への興味関心度合いにもよるんだけど)。

なんというかすごく失礼で勝手な言い方をすると、ああやっぱりジブリには到底及ばないと思ってしまった。描く人間の深度が全く違う。すずめが何故会ったばかりの草太にあそこまで強く執着するのかも納得できないし、「それは冒頭のあの一瞬で一目惚れしたのだ!」と言われたところでもそうなってくるとあのシーンが物語の自然な流れでなく、あくまで物語に必要だから、と説明を意図して挿入されたようにしか思えなくなってくるのだ。

と、まあよく悪口をここまで長く書くよなと自分でも思うけどそれはこれまでの作品が自分に響いた作品だったからでもあるんだよね。次は新海誠はどんな作品を作るのか。
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