MU

生きる LIVINGのMUのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
生きるとは何か、哲学的な問いを投げかける間違いなく素晴らしい作品だった。シンプル過ぎるぐらい直球のメッセージが胸に響いた。

昨今は映画の上映中にじっとしていられず、スマホを見てしまったり子供達の集中力がなくなってきているという話を聞いた。短尺で刺激の強い動画メディアや切り抜き動画的なものが流行っている現状を考えれば抗うことの出来ない時代の流れなのかもしれない。意外性もなくて、全く伏線も敷かれていないし、エンタメ性もないけれど、今作のような普遍的な本質を伝える良質な作品を楽しむ集中力はなくしてほしくない。かくいう私も序盤は集中力が散漫になっていた気がする。

誰もが組織の中で働く機会がある人であれば、自分は組織の歯車の1つで無力感に打ちひしがれることもあると思う。自分1人で組織を大きく変えることは簡単ではない。それでも作中のメッセージを胸にしまい、誰の目にもとまらない、後世に残らない仕事かもしれないけれど、自分を何とか奮い立たせて誰かの為にベストを尽くすことが出来れば最高で、それだけで十分美しく、尊いことなのだと思う。

本作品はカズオ・イシグロ脚本のリメイク作品だか、黒澤明監督の原作も時間があれば確認してみたい。
MU

MU