Omizu

イエス様 マリア様 ヨセフ様のOmizuのレビュー・感想・評価

3.8
『ジャッリカットゥ 牛の怒り』リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督作品。インド国際映画祭で監督賞を受賞するなど高い評価を得た作品。

面白かった。インド映画と言えば派手なアクションにミュージカルという印象だったが、本作は非常に地味。老人の死をきっかけに村での人間関係が徐々に露わになっていくというつくりになっている。

最後の雨の中での混乱、狂気が爆発するシーンは凄まじい。地味な話しながらもパワフルで力強いストーリーテリングがいい。

父から豪華な葬式を頼まれた主人公、しかし望むとおりにいかないどころか混迷を極める事態に陥っていく。フラストレーションがたまっていき、最後でそれが暴発するという流れも非常に上手い。

どんどんのっぴきならない事態になっていく。その積み重ねを主人公の心を通して何気に繊細に描いている。

この家族はキリスト教のようで、聖職者との関係も重要になってくる。さらに不審死ということで警察も介入してくる。どうしようもない事態に陥っていく主人公の焦りを上手く描いている。

各要素の積み上げが非常に上手い。話としてはシンプルで地味ながらも、何とも言えないエネルギーと狂気が積み重なっていく上手い脚本と演出だ。『ジャリカットゥ』は観ていないが、かなり力量のある監督だと思うので楽しみに鑑賞してみたい。
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