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福田村事件のパピヨンのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.6
官民合同の自警団は、「言葉が変だぞこいつら朝鮮人だ!」✕「待て待て、日本人だったらどうする!」
厳しい差別に晒されている部落出身の行商団長は、「朝鮮人なら殺してもいいのか!」
先ずもって、100年前のこの日本人の汚点が、ここに映画化されたことに拍手と感謝ですね。でもやはり大メジャー会社ではない、クラウドファンディングを含む、多くの製作陣の強い志のタマモノで産まれたものでしょうか。
企画·脚本の荒井晴彦氏では、「遠雷」「時代屋の女房」「Wの悲劇」「大鹿村騒動記」「共喰い」「幼な子われらに生まれ」と好きな作品が目白押しです。
1923年9月1日の11時58分に関東大震災が発生し、その混乱に乗じて「朝鮮人が略奪や放火や井戸に毒を流した」等と、根も葉もない情報がもたらされたのです。未発達の情報網と、不安の只中で人々は疑心暗鬼となり、千葉県の福田村でも自警団が武器を手に、間違った集団心理を加速させて行ったのです。結果、朝鮮人と誤解された四国からやって来た行商団が、幼児や妊婦を含め惨殺されると言う悲劇が起こるのです。
現代より遥かに無知であったと言うだけでは済まされない日本人の汚点は、国籍どころか同じ日本人をも差別していたのですから。多少日本人が洗練?された現代でも、やってることは大して進歩していないようですから。耳障りな過去を無かったことにするのでは、進歩どころか退化してしまいますね。
日本のメジャー映画会社に対しても何だかなーって思ってます。そして、本作品も後世に伝える映画として、もう少しクオリティを上げられたと思ってしまいました。 あと一歩でも二歩でも高められたなら、この企画にもっと光を当てることになるから。
大メジャー映画会社さんへ、この手の企画を潤沢な予算と時間で製作することが出来たなら、おそらく作り手方々が誇りを持てると思うのですが···。
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