パピヨン

あしたの少女のパピヨンのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
4.2
女子高生が実習生としてコールセンターで働く前半は実際の事件を再現し、女刑事がその彼女を自死へと追いやった真相に迫る後半はフィクションとなる二部構成です。
実際に起こったこの息苦しいまでの女子高生自死事件は、韓国社会の息苦しさそのものでしょうか。学校とその管轄のお役所も、人手不足になりがちな中小企業とその管轄のお役所も、警察組織さえ数字に追われ追っている。責任が曖昧になり何が誰が、若者たちを追い詰めているのか。どこの国もさして変わらない絶望感が伝わります。
ペ·ドゥナは、「ベイビー·ブローカー」に続く刑事役を、力強くも切なく表現しています。でもやっぱり若き日の岸本加代子とガッツリダブります。自分にとって最高の韓国俳優です。
チョン·ジュリ監督の演出では、自死する間際に女子高生が訪れた食堂に、聞き込みに訪れた刑事の足元に、女子高生と同様の長い日差しを伸ばすことで、二人をリンクさせるのです。センス抜群の監督と俳優が作り上げた傑作で、本年最高の韓国映画でした。
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