他人の気持ちが分からない、良かれと思って他人を利用する、妄想癖、そうゆう子供の青春モノとして凄く良く出来てる。主人公の行動に他人事とは思えない部分があり、結構刺さった。
ストーリーは徹底して主人公の主観。アイドルグループの話なのに客観が他メンバーを捉えるシーンが全然無い。これは94分というタイトな尺でドラマを畳む都合上必然的な要請であると同時に主人公の視野狭窄を言外に仄めかす演出としても機能していて、とても鮮やかな構成だと思った。
構成だけじゃなく、ふとした会話にも要所々々ハッとさせられる部分があった。主人公が「私って嫌なヤツなのかな?」と呟き、母親が「そうゆうところも、そうじゃないところもあるよ」と答えるシーン。
「そんなことないよ」と言わせない所に毒と誠意を感じた。
ラスト付近で急にベタな感動路線に舵を切るので面食らったけど、全体的には「ケガをして大人になる」タイプの成長譚で個人的には好き。黒い情熱がほとばしる良い青春映画だった。