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ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

本作は見方が非常に難しかった。

明快な結末のないミステリーを見せたかった、というより、本作は1つのジャンルに囚われず、カメラや物語の中で描きたい表象を描きたい、そういった印象を受けた。

幻想的な光に包まれる少女たち、雄大なオーストラリアの自然に感じる畏怖、失踪事件に振り回される人々、理解不能な状態で急に起こるホラー演出など、そういった、一つ一つのアイデアを組み合わせたような感触がある。

曰く付き未解決事件の顛末を描いたフィクションとしては、最高レベルだったのではないだろうか。
穏やかな不気味さが漂うさまを前にして、ヒトは成す術も無く現状に翻弄される他ない。
超自然的なものの前に勝ち目はない、そんな雰囲気があった。

演出面では、2カットをオーバラップさせる演出が幻惑的だった。
また『8 1/2』のごとく、複数の被写体をカメラワークの流れの中に次々と映す演出あり。
青年がへばり付きながら岩に近づくシーンは、劇伴と演技の力で成立したシーンであった。

雰囲気映画になりそうな主題を、ある程度骨のあるストーリーを持って物語る、非常に独特なスタイルの作品。
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