せっ

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のせっのレビュー・感想・評価

4.2

女子校の可憐な少女達が学校の行事でハンギングロックにピクニックに行ったところ、3人の少女と1人の先生が失踪し、その後の周囲の動揺を描いた話。

失踪事件という不吉な話だけど、その失踪事件を通して女性の(あるいは男性も)解放が描かれてるのかなと思った。色々意味ありげなカットやモチーフが出てきて、ほとんど分からないけれど、さすがに、「そびえ立つ岩山」「割れ目を通っていく男女」「生存者が赤い服に身を包む」みたいな要素はさすがに、性の方面を感じさせる。

だからこの事件は、あまりにも美しすぎてスノードームに閉じ込めてしまいたいような少女達を口には出さずとも誰でも性的な目で見つめている、そしてその少女達もまた一方的被害者ではなく同じような欲望を持っている可能性が明るみに出てしまったことで、純潔を失った人々の解放が描かれてたのかなと思った。

その解放を受け入れられない少女もいるし、それによって救われる少女もいる。女性目線では、自分たちで閉めていたコルセットからの解放。一方で、純真な少女に取り憑かれた(?)男にとっては、純潔さは必死に手を伸ばして見つけ出したとしても、1度少しでも手に触れてしまえば失ってしまう。それに気づいたことが解放かは分からないけど、少なくとも純潔という幻想からは解放されたように思う。

これら彼女達の解放を手助けする役割としてミランダがいて、その役割を初めからミランダだけが理解していたのかな。

色々意味ありげなカットやモチーフが出てくるけどほぼピンと来るものはなく、ずっと「あぁなんか意味あるんだろうなぁ」とほんわりほんわり眺めていたら終わった。ずっと綺麗なわけじゃないし、汚い部分も怖さもあるのに、何かずっと見つめていたいと思える不思議な映画だった。
せっ

せっ