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JAWS/ジョーズ2のtakのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ2(1978年製作の映画)
3.0
成功作の後を追う映画は、ビジネスだから製作されてしまうもの。だが柳の下に2匹目のドジョウはいない。むろんサメ🦈もだ。しかしこの第2作がスピルバーグ監督の前作と同じプロデューサー、キャスト、ジョン・ウィリアムズの音楽もつけて製作されて、そこそこの成功を収めたことは、後に数々の類似品を産むことになる。そしてサメ映画というジャンルが形成されたと言っても過言ではない。

アミティに再び巨大なサメの脅威が訪れる。前作同様に、サマーシーズンの稼ぎ時を逃したくない人々とブロディ署長のまっすぐな正義感が対立する構図。その対立ドラマは前回以上に激しく、市長や町の実力者たちに都合の悪いブロディは排除される事態に発展してしまう。そんな父に息子たちのドラマも絡んで人間模様が色濃く出た映画になっているのは前作との大きな違いだ。普通ならストーリーに起伏を与えて盛り上げる要素になるところだが、これがどうも煮え切らない印象に終わる。それは話が陸で進んでいるせいだ。

前作は観客も登場人物もただひたすらにサメに気持ちが向いている映画だった。登場人物もサメに執着する漁師、サメの魅力に取り憑かれた海洋学者も交えた濃いキャラクターばかり。そしてストーリーは海の上、船の上で進行する。(予算という事情もあるだろうが)閉鎖された舞台で話が進むから、観客も気持ちの逃げ場がない。そこが脚本の巧さだし、観客を巻き込むスピルバーグの巧さでもあった。「ジョーズ2」のクライマックスは確かにハラハラするけれど、ヨットの上の少年少女と、追いかけるブロディ、港で夫や子供の身を案ずる人々、ブロディを信じなかった人々、と様々な顔がチラついて、観客は感情移入する先が絞り込めない。だって、観客はサメを楽しみたいんだもの。家族愛の物語を期待して「ジョーズ2」は選ばない。

監督のヤノット・シュワルツ(※英語読みじゃなくて、フランス人監督なのでこの表記にします)は、傑作「ある日どこかで」を撮ってるくらいだ、決して下手な人ではないと思う。ヨット遊びの楽しさ、太陽を浴びた水面の美しさは綺麗に映し出されているだけに、それを脅かす出来事が強く印象づけられる。また、前作では自分にできることが定まらずに迷いっぱなしだったブロディが、本作では行動に迷いがない。家庭以外では堅い表情を貫くロイ・シャイダーの演技もいい。ジョン・ウィリアムズの音楽も迫る恐怖を盛り立てるあのメロディに加えて、「スターウォーズ」の惑星エンドアで流れそうな軽やかな楽曲もいい。サメもヘリコプターを襲う大活躍。それぞれの良さがある映画だと思うのだが、なんか惜しい気がしてならない。

2024年5月、BS12の吹替版(製作時にカットされて吹替がない部分は字幕入り)録画で再鑑賞。鑑賞記録は初回を記す。
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