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理由のmayumayuのレビュー・感想・評価

理由(2004年製作の映画)
3.4
久しぶりのDVDレンタル①
この映画を観た当時、宮部みゆきの大ファンだった。ドラマ化や映画化作品もできるだけチェックしていたのだが、今作の前に見た映画化作品が、原作とも違う上にどうも気色悪く感じられ、悲しかった。その後に観た本作は非常に満足度が高かったのと、この登場人物の多い作品をよく!と思ったのを記憶している。

それ以来。
原作はうっすらと覚えているだけという状態で視聴。
なかなか面白かった。

冒頭で少女の目から落ちる涙は大きくて、原作をリスペクトしている感じがした。
当時も驚きとともに思ったが、ほぼ原作通りなのだ。
確か原作はおびただしい登場人物のインタビューをつなぎ合わせて、
複数の登場人物のストーリーが徐々にパズルのように組み合わさり、
事件の全貌がわかるという形式だった。
ちょっと時間がなくて全部は見られなかったのだが制作の背景をたっぷり1時間ほど見せてくれる特典映像がついていて、
大林宣彦監督ご自身が、「原作通りの映画を撮ることで、新しい映画の表現にチャレンジしようと思った」というようなことを述べられていた。
それは成功しているんじゃないだろうか。
原作通りでないのは立川談志師匠のシーンのみで、あとはアドリブは許されなかったらしい。

ただ、原作ファンだった私は、例えば弟が姉に抱いている気持、とか
若い女性が交際していた彼にどういう思いを抱いていたか、とか
やはり見ながら自然と補完できてしまうので、完全にこの映画だけで成立しているかを判定するのは難しいのかも。
全く初見の方が見たら細切れ映像になる可能性もある気がするけれど、
映画化しにくい原作を、よくぞまとめたなあという感じがする。

もう一つ、いま大活躍している俳優さんが若くして出ているところが見られるのは
なかなか面白いかも。
多部未華子さんの初々しい演技。
宮崎あおいさんもかなり若かったが、当時から既に上手。
実のお兄さんと兄妹役をしていて、お兄さんはもう芸能界から退かれているとのことで、貴重な映像かもしれない。
さらに、宮崎あおいさんの隣でタクシーで座っているだけの役ではないかと思うけれど
鬼頭明里さんがいたり。
そんな中岸部一徳氏と勝野洋氏の演技が映画を締めていると思った。
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