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オッペンハイマーのmayumayuのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
観た後にやっと時間ができ、パンフレットをスタッフとキャストのインタビューを中心に読んだ。それでやっとレビューを書いている。

オッペンハイマーのWikiくらいはさっと読んでから観た方が理解がしやすい映画だと思う。

オッペンハイマーの原爆作成成功後の葛藤や、社会的に不当に追い詰められ、監視に置かれたこと、ルイス•ストローズの存在はこれを観てやっと良く理解した。原爆のもたらした苦しみや結果を直接描いていないといえばいないが、オッペンハイマーの伝記映画だから、彼が直接観ていないものを描いていないのかな、とも思えるし、監督は「大気に引火し地球を滅ぼす小さな可能性があったのに、それを作り上げ、ボタンを押したということに観客に立ち会ってもらいたかった」と言っている。
キリアンはじめMCUの雰囲気を消し去ったロバート・ダウニー・Jr、エミリー•ブラント、終わるまでキャスティングに私は気づけなかったマット•デイモン、ゲイリー•オールドマン。キャストは豪華で皆演技も最高。
長さを感じないが、見終わった後の脳の疲労感が凄かった。(頭痛の日だったせいもあるけど)

観る価値ある映画だと思うが、何か釈然としないものも残った。パンフレットでは、キリアンは「エンターテイメントであると同時に考えさせられる作品」、監督は、上記のように述べ、「エンターテイメントと言うのは変ですが」と言っている。
そう、自分の中でこれを「エンターテイメント」と言われるのにとても違和感がある。
ユダヤ人だったオッペンハイマーはナチスを倒すために原爆を全身全霊で作ったんだろう、と思う。ナチスが倒れた後、「日本はもうもたない」とわかっていた状況であれを落とす意味はなんだったのか。「自分の手が血塗られているように感じます」と言ったオッペンハイマーを「泣き虫」と罵ったトルーマンに腹が立ったがあれも為政者の姿。
そういうことが、大ヒットだった国ではどのように受け止められているんだろう?
ノーランはある意味観客を信頼しているから、そのまま描いているのかな、と思うが、とても気になってしまうし、この感じ方も自分が日本人だからなのかなって思ったり。
観終わってすぐにレビューが書けずだったのはこの辺に理由があると思う。
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