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シルバー・グローブ/銀の惑星のadeamのレビュー・感想・評価

2.0
アンジェイ・ズラウスキーが制作中止命令による中断を乗り越えて完成させたSF大作。
とある惑星に不時着した宇宙飛行士たちがそこで生活を営み、原住民と争う様を強烈なビジュアルで哲学的に描く難解な物語です。
暴力描写を多分に含むだけでなく、青い画面とユラユラと動き続けるカメラが不快感を煽り、意味不明な台詞の連続は解釈しようという意欲を削いできます。
それでも時折ハッとするような美しくもおぞましいカットが差し込まれるので、その時を待ちながら長尺に耐える作品でした。
カメラが一つの目として作品の中に入り込むのはズラウスキーお得意のパターンですが、今作ではカメラが演者に触れられるほど近づいており、それが世界観を破壊してしまっていたように思えてなりませんでした。
触れられることでそれは目でなく単なるカメラになり、異世界的なメイクや前衛的なダンス、意味深な台詞など全てが自意識過剰なパフォーマンスに見えてしまい、海辺や砂漠といったロケーションにも自主制作のような安っぽさを感じてしまいました。
失ったフィルムを補うために追加撮影されたというワルシャワの街並みと監督自身によるナレーションの方が、本来の内容よりはるかに魅力的に映ってしまったのが悲しかったです。
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