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華麗なるギャツビーのmayumayuのレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.8
KKMXさんのレビューで見たくなって観ました。ありがとうございます。
隣人である謎の大富豪ジェイ・ギャッツビーが破滅するまでのの顛末を、ニックが出会いから語る物語。

見始めてすぐ、バズ・ラーマン監督だとわかりました。彼の映画は、他にはロミオ+ジュリエットしか観てない。でも若い頃とても好きで、何度も観ていたせいかすぐわかりました。たまたまレオナルド・ディカプリオが両方とも主演ですねー。
そしてこの2本の映画でいくつか似ているなと感じる部分がありました。

最初の豪華絢爛うるさいほどの狂乱パーティ。
子供のようなディカプリオの純愛。
豪華絢爛と対比されるような後の悲劇。

ロミオ+ジュリエットは主人公カップルが若くひたすら純粋なので、ひた走る無謀さ・エネルギーが無垢なものに感じられます。
本作は大恐慌前の狂乱のような好景気と詐欺まがいの投機で富を築いたギャッツビーと、その後の世界恐慌とギャッツビーの悲劇が重ね合わされており、ロミオたちより年齢も10以上上の人たちの話で、しかも不倫ですから、だいぶ異なるはずなのですが‥

なんかねえ、レオ・ロミオもジュリエットより子どもな感じだったんですよね。
好きで好きで我慢できない。悲しみも喜びも怒りもすぐ爆発させて。ま、子どもな年齢でもあったんですが。

もはや少年では無いディカプリオの本作も、恋したら何も見えなくなるのは薄々わかりつつも、それが全て。しかも過去は変えられないって言われているのに認めない、愚かで哀れなギャッツビー。
しかし、「お茶会」を「好意」で開いてくれたニックににっこりし、お茶会の会場のニックの家の芝を刈り、室内を花々で温室のように仕立て、しまいにはデイジーが来たというのに怖気付いて土砂降りの中を一旦外に逃げ出すという小学生か中学生のような振る舞い。
そんなところが、ニックはほっとけなかったんでしょうね。それを「夢」と呼んであげるニック。
過去は変えられない。デイジーの身に起きた過去も消せない。それを乗り越えられず、デイジーのためだけに傍目には愚かな選択をし続けるギャッツビーは破滅していきます。
隣で悲しくそれを見つめるニック。そのあとの大恐慌、鬱にもなるかも。

デイジーは私は当時の上流階級にしか生きられない悲しい女性、という印象です。
正直、ギャッツビーが彼女に固執する理由が今ひとつわからなかったですが、初めて愛した女性というところが特別だったのかな。
ギャッツビーは彼女のために全ての行動をし、愛しているのでしょうが、結局彼女を自分のものにしたいだけで、彼女の自発性とか、心を尊重しているわけでは実はないように思いました。それは夫のトムもあまり変わりないのかなと。
彼女は自立するすべを持っているわけでも、自立したいわけでもないので仕方ないといえば仕方ないのでしょうが、
おそらく当時の上流階級の女性は、夫ガチャで全て決まるというか、それ以外に生きていく道がなかったのだろうとも思います。
サン・テグジュペリの南方郵便機のジュヌビエーヴみたいな人かなと。

村上春樹訳の華麗なるギャッツビーを今度読んでみたいですね。
ちなみに、ロミオ+ジュリエットのジュリエット役のクレア・デーンズは、外見の相性がレオと合う人として選ばれたらしいので、
ひょっとしたら本作のキャリー・マリガンもそうかもしれないと思いました。
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