Brynhildr38

ジョン・ウィックのBrynhildr38のレビュー・感想・評価

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
3.6
「ジョン・ウィック」シリーズの第1弾。鉛筆1本で3人を葬った伝説を持つ元殺し屋が、小犬と愛車をマフィアのバカ息子に奪われたことでその復讐を果たすお話。

スタイリッシュなアクションがすべて。ガンアクション、カーアクション、格闘アクションで、ストーリーはあるようで無し。百発百中で容赦無しのヘッドショットは、まるでアクション・シューティングゲームのようで、不思議なくらい魅入ってしまう。

キャストも意外と豪華。
伝説の殺し屋と言うから、セガール路線、もしくはリーアム兄さん系か、それともデンゼル無双を継ぐのかと思いきや、めちゃくちゃ強いわけではなく、計画性があるように見えず行き当たりばったりな行動はとても伝説の殺し屋には思えないジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーヴスは、顔が長く見えるけどやっぱりイケメンだから殺し屋には見えない。
そのジョンに徹底的にやられるマフィアのボスであるヴィゴ・タラソフを演じる故ミカエル・ニクヴィスト(この時はまだ元気だったのね)は、やられちゃうけど雰囲気あって良し。
ジョンの友人だが報酬を聞いて殺しを引き受けるマーカスを演じるウィレム・デフォーの出演はちょっと活躍が中途半端。
慇懃すぎるホテルのコンシェルジュのシャロンを演じるランス・レディックは、出演時間短いけど存在感有りあり(吹替が良い)。

この作品の特徴と言うか見どころは「コンチネンタル・ホテル」の存在。殺し屋、マフィア、死体処理屋、事情を知っていて見て見ぬフリをする警官、そんな裏社会に生きる人々をつなげる不思議な世界観と裏社会の厳格なルールの存在がとても面白くてカッコいい。

ただ、バランスが悪くてモヤモヤするところも多数有り。
伝説の殺し屋なのに自宅のセキュリティ普通過ぎだし、そのせいで冒頭でバカ息子達に軽く侵入されたり、コンチネンタルホテルの「鉄の掟」を一流の殺し屋が報酬に釣られて簡単に破りますかね?とか、掟破りの女殺し屋への仕打ちはスタイリッシュだけど、そのやり方は絶対同士討ちしちゃうでしょ?とか、名前を聞いただけでビビるくせにジョンを捕まえたら、なぜすぐその場で殺さない?とか、そもそも車と犬(実質2日間しか過ごしていない)のためにマフィアと戦争しますか?(※) とかとか。
計算しつくされた流れるようなアクションも、リアリティ優先のためか若干スピード感に欠けて、ぎこちなさが残るのは仕方ないのか・・・うーむ。

と言いつつも、モヤっとする部分が多くてキリがないけれどそういうことは忘れて、全てをセットで括って鑑賞できれば、とっても満足できる作品と思います。
「第2弾」も見ちゃう。

p.s
※愛犬家の方から「愛犬家で伝説の殺し屋だったらマフィアと戦争するのは当たり前!」だそうです(失礼しました)。
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