マルケス

1944 独ソ・エストニア戦線のマルケスのレビュー・感想・評価

1944 独ソ・エストニア戦線(2015年製作の映画)
4.0
ナチスドイツとソ連に相次いで侵略されたエストニア。男性は様々な事情からどちらかの兵士になったが、同胞で殺し合う結果に。
求めたのは祖国の解放・自由なのに、大国の戦争に巻き込まれた小国の悲劇がエストニアでも起きていた。

一通の手紙を媒介に、ドイツ軍のカールからソ連軍のユーリへと主人公が替わる。両方の立場を描くことでより複雑な感情へと引き込む脚本が秀逸だった。

「僕はただ見ていた」「黙って見ていた 臆病だった」「命令なしでは動けなかった」セリフの端々に無抵抗だったことへの悔いが滲む。
他にも刺さるセリフが多かった。「神は許すさ…どうかな…許さんかも」そう言ったプロホルが印象深い。
ラストの兵士達の表情には、エストニア人としても個人としても、簡単には言い表せない心情が滲んでいるように思えた。

ソ連の侵略に関する映画の中では最も響いた。侵略されるってこういうことなんだ…悲しいとか悔しいとかの単純な感情じゃなく、様々な負の感情が押し寄せて来て、しばらく混乱してた。
語り継がれてほしい良作だと思う。
マルケス

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