真世紀

大幹部 無頼の真世紀のレビュー・感想・評価

大幹部 無頼(1968年製作の映画)
5.0
第一作とタイトルが紛らわしい無頼シリーズ第二作。オープニングクレジットでは、前作オープニングクレジットで描かれた五郎の悲惨な幼少期と前作の振り返りが五郎のナレーションで語られる。

前作ラストから三ヶ月後、傷を癒した渡哲也演じる五郎は恋人・雪子(松原智恵子さん)、落命した先輩(待田京介)の連れ合い夢子(松尾嘉代)の待つ弘前へ姿を現した。駅前では巡業帰りの踊り子(芦川いづみ)の一座が地元のやくざに身柄を売り飛ばされそうになっているのに介入。感謝のしるしとして赤いスカーフをまく、いづみさん。列車の車窓から雪道を黙々と列車に目もくれずに歩いていく渡を見送る姿がいいよなぁ。

二人と合流したが、夢子が病に倒れ、農協で働く雪子。そして、自らも肉体労働で堅気として生きる意を固める。だが、夢子の容態が悪化。前述の踊り子一座のトラブル介入で揉めた地元やくざの事務所で声を掛けられていた昔の馴染み、横浜の木内組長(内田良平)の誘いに乗り、再びやくざ稼業へ。

横浜では木内組の抗争相手の幹部に二谷英明。五郎に横浜を離れるよう促されるも、残していく妻子にせめて置土産にとクリスマスケーキを手にして戻って落命。

五郎になつく若者枠に現在もVシネマで活躍する岡崎二朗。その恋人で二谷の妹に太田雅子時代の梶芽衣子さん。フラメンコダンサーで、踊りも披露!

そして、横浜で再会したのは芦川いづみさんの踊り子、今は身を持ち崩してチャブ屋の娼婦となっていた。その芦川さんにぞっこんなのが前作ラストで五郎が倒した組長の弟分。着流し姿の田中邦衛。もちろん、五郎の命を狙うが。

抗争劇、次々と登場人物が落命した結果、五郎は悪辣な木内組長に刃を向ける。このラストの内田良平と組員たちとの立ち回りが壮絶。最後はどぶ川用水路での斬りあい、レンジの短い匕首だけに自身も手傷を負う五郎。前作では「上海帰りのリル」を歌う青江三奈と立ち回りが並行という趣向だったが、本作ではこの用水路の上方に学校があり、屋外コートでバレーボールを楽しむ女子高生たちとやくざの殺し合いが並行というこれまた強烈な印象を残す。死闘を制するも、傷だらけの五郎、用水路の梯子を這い上がり、よろよろとコートに倒れこむ。遠巻きにする女生徒たち。無頼シリーズを映画本などが取り上げる際にはこのラストシーンへの言及が多々あった印象だけど、そりゃ語り草となる鮮烈さだわなぁ。

小澤啓一初監督作。シリーズ六作ではこの二作目と第一作が群を抜く。
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