あっくん

僕たちは希望という名の列車に乗ったのあっくんのレビュー・感想・評価

4.8
前回の“バルーン 奇跡の脱出飛行”レビューに引き続き、ドイツ実話作品をレビュー🎶

※お知らせ
以前にレビューした“幸せはシャンソニア劇場から”がアマゾンプライムにて配信✨
気になる方は是非🎶

🚇あらすじ
「ベルリンの壁」建設の5年前である1956年の東ドイツ。

鉄鋼の町スターリンシュタットのエリート高校に通うテオとクルトはある日、遊びのために忍び込んだ西ベルリンの映画館でハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像を見る。

ソ連による軍事介入で多数の人々が犠牲になったことに怒りを感じた2人は、ただ犠牲者を哀悼したいという純粋な気持ちから、級友たちに呼びかけて授業中に2分間の黙祷を行った。
だが、この行為はソ連の影響下にある東ドイツにおいては体制への反逆行為としての意味だった。

生徒達は信念を貫き進学を諦めて労働者として生きるか、大切な仲間を密告してエリート街道を進むか、19歳の若者の人生を左右する大きな決断を迫られる。

🚇感想
物凄く心を揺さぶられました💦(¯―¯٥)
余りにも重厚感溢れる青春映画!!Σ(゚Д゚)
学生達の多数決によって決めたたった2分間の黙祷だが、無分別の様な若さに任せた純粋な行動がここまで大事になるなんて…💦

・肉体労働者階級一家の中で唯一エリート校へ進学したテオ
・父が市議会議員で富裕層育ち、テオの親友のクルト
・反ナチスの共産主義の英雄だった亡父を持つエリック
・テオの恋人であり同級生で、彼らの選択する運命に揺らぐレナ
・大伯父の持つラジオで西ドイツの情報を得たパウル
…っとこの5人のキャラを軸に、若者達がそれぞれとった行動に悩み…そして葛藤し、苦渋の決断を迫られる!
しかも隠された衝撃の真実も明らかに!!Σ(゚Д゚)

政府の圧力を受けてお互い疑心暗鬼になりながらも自分達の尊厳と純粋な正義を貫き、そして誇りと絆を守る姿は何処か無茶ながらも繊細で美しく感じました。
同級生だけでなく、家族と衝突して向き合いながらも理解していく絆に深い愛を感じます…。

そんな若者達に社会主義国家という恐怖体制に支配された大人達の陰湿な言動と圧力により、一人一人を疑心暗鬼にして徹底的に追い込んでいく姿…本当にここは教育現場なのでしょうか?
ただそんな大人だけでなく、学生の親達の中で戦争やナチスドイツで受けた傷がまだ残っている事にも感じ取れます…。

本作は邦題が気になっていた作品の一つで若者の勇気ある行動により自由という微かな希望を感じますが、その代償は余りにも切なすぎます…。
結末を観た後に、ベルリンの壁が5年後に建てられると思うと尚更切なさが増してきます💦

その後が気になりながらも自分で考え、自分で決めた未来へと進んでいく姿…。
一部不幸になった人に心苦しく想いながらも、明るい未来へと進んで欲しいと強く思いました…。

※テオのお父さんが割と若めだな〜と思っていたら、テオ役と父役の俳優さん同士の年齢が15歳差しか無かったので納得💦(・・;)
因みにテオの弟で幼い二人の男の子は監督の息子さんみたいです🎶

🚇発端のハンガリー動乱
1956年10月23日よりハンガリーで起きたブダペストの学生,労働者のデモをきっかけとして起り,約2ヵ月間続いた暴動。
ソビエト連邦(ソ連)や勤労者党政権の権威と支配に反対する民衆による全国規模のデモ行進・蜂起および、ハンガリー政府側がソ連軍に要請した鎮圧によって市民約3,000人が犠牲となり、20万人以上が難民となり国外へ亡命したとされる事件。

そしてハンガリー動乱に巻き込まれたハンガリーサッカーチームで有名な主将選手のフィレンツェ・プスカシュの存在が、本作では彼らの運命をも変えていく💦

🚇キャスト
監督はラーズ・クラウム

原作はディートリッヒ・ガルスカ“沈黙する教室”

テオ役のレオナルト・シャイヒャー(Netflix作品ビリオンダラーコード)

カート役のトム・グラメンツ

エリック役のヨナス・グラマー(屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ)

リナ役のレナ・クレンケ(Netflix作品ドラッグ最速ネット販売マニュアル)

パウル役のイシャイア・ミヒャルスキー(アマゾンプライム作品ラブアディクト)

テオの父ヘルマン役のロナルト・ツェアフェルト(アイヒマンを追え! ナチスが最も畏れた男、あの日のように抱きしめて、東ベルリンから来た女)

校長役のフロリアン・ルーカス(グッバイ、レーニン!、グランド・ブタペスト・ホテル)

国民教育大臣ランゲ役のブルクハルト・クラウスナー(ブリッジ・オブ・スパイ、ヒットラー暗殺 13分の誤算、コッホ先生と僕らの革命)
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