けいすぃー

私、オルガ・ヘプナロヴァーのけいすぃーのレビュー・感想・評価

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僕は今日レジで前に並ぶ中年男性の顎を殴打するという選択を取らなかったし、明日も恐らく通過する急行列車に向けてホームから自分の脚を投げ出すという選択を取らないだろう。しかし、人がいつトラックで歩道に乗り上げて31mも走行するという選択を取るかは分からない。
私たちは常に難しい選択に迫られていて、破壊的な衝動を抑える術を意識してか無意識にか体得してきた。あるときそれを手放してしまう可能性は誰にでもチラついていて、他人をその縁に追いやる行動は知らず知らずのうちに得意になっているのかもしれない。

この映画を作品として捉えたとき、俳優の演技や脚本演出も過不足がなく素晴らしいが、なによりこの事件を作品として残そうと考えた意識を称賛したい。
けいすぃー

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