ちょげみ

DUNE/デューン 砂の惑星のちょげみのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.7
ここ10年のsf映画の代表作の一作として名を挙げられることが多いこの映画、重そうな作品という印象に尻込みしてずっと避け続けていたのだが、いざ試聴してみるとなるほど...これは確かに王道のど真ん中をいくSF映画だなぁ。。

といっても自分はSF映画にはあまり造詣の深い方ではなく、はっきりと言えばsf弱者である。
人間知らないものは皆同じに見えるものであり、自分もその例に漏れずSF映画の細かな区別、SF映画ファンのフェチズムの在り場所などはよくわからない。

なので率直に一映画ファンとしての感想を言わせてもらうなら、話が小難しく、かつ固定用語?が多すぎるため映画化には向いていないのかなぁ。。と。。
さらにもうひとつ付け加えると、本作はエンターテイメント作品として楽しませてもらうという姿勢ではなく、能動的に楽しむ姿勢、スタンスを持って味わうことが求められる、芸術作品よりの映画だと感じた。


私が先に述べたような感想を持ったのは、今作品を包み込む特徴、主にストーリー方面の特徴が昨今の主な大作映画とは若干趣を異にしているからだ。

ここ数年に公開されたSF映画の中で特に印象に残っているのは「ガーディアンズオブギャラクシー」、それに「TENET」、marvelの作品群あたりであろうか。
どこからどこまでがsf映画の範疇に収められるのかわからないのでとりあえずこれくらいにしておくが、ともかく、これらの作品はスピーディな展開と印象的なガジェット、洗練された戦闘シーン、見事なまでの伏線回収、などの点において共通している。

観客のハートをガツンと掴むためにひたすら力を尽くしている、素晴らしいSF映画だと思うのだが、「デューン 砂の惑星」はこれらの作品とは真逆のスタンスをとっている。


この作品はスピーディな展開とは無縁である。目を疑いたくなるようなスローペースな雰囲気に支配されていて、下手な小細工など必要ない!と言わんばかりの超王道、超重厚の静謐なムードを全面に押し出した映画となっている。

昨今の映画のスピード感に慣れている自分としては結構面食らったというか、正直冗長に感じたのだけれど、次第にこの作品では楽しむというより五感すべてで味わうことが肝要であり楽しめるコツなのだと思い始め、中盤、終盤では作品の全てを味わうようにして鑑賞した。

エンターテイメント映画だと思っていたのだが、エンターテイメント映画の皮を被った芸術映画、に擬態したエンターテイメント映画なんだと思う、多分。


というわけで個人的な好みとして最終的な判断するを下すなら、、息を呑むような映像美には文句のつけようもないけれど、ストーリー展開と世界観の説明が不足していてついていけないことがマイナス要因として働いている。
よってまあまあ好き、みたいな評価に落ち着くかな。。。
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