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鹿の王 ユナと約束の旅のmayumayuのレビュー・感想・評価

鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)
3.6
上橋菜穂子さんが大好きで、原作も好きです。
原作読んだ時は、ハリウッドとかで二部作、三部作で映画化してくれないかなぁ、なんて夢想していました。
アニメ映画化と聞いて、なるほど、アニメならば世界観を表現できるなと思い楽しみにしていました。
しかし流行り病の話であり、コロナ禍のためと思われますが、ずっとずっと公開が延期になっていました。

キャラクターデザインや、小説の世界はよく表現されていて私は割合好きでした。
主人公のヴァンは私のイメージとは少し違いましたが、とても魅力的に描かれていましたし、過去から癒されていく様子もよく表されていたと思います。病というものを政治的な武器として使用するおこがましさ。これは医師のホッサルのセリフによく表されていた。彼は原作よりイケメンな雰囲気でした笑。堤さんの低音の声はもちろん、竹内涼真さんって声かっこいいんだなぁ、と。
原作ファンとしては、最後にピカパルという水中で育つ葉っぽい描写とか、あ😊っていう感じでした。

しかし、この壮大な物語を(文庫本4冊分)を2時間そこらの映画にまとめるのはちょいと無理があったかもしれませんね‥物語を映画で語る事ができるようためやや削ぎ落としてシンプルに改変するのは仕方ないと思いますが、それでも駆け足感は否めない。それによると思われる中だるみ感。また、国と国の政治の駆け引き、文化の反発と融合、病、特に抗体や血清の話などなど、リアルで、そこが良いのですが、あの早さで語られると理解がついていくのが大変かも。内容を全く知らないで見たら私だったら色々な表現を見逃してしまいそうです。保育園か小学校低学年の子供連れが多かったですが、途中から厳しくなっているお子さんもちらほらいました。
獣の奏者エリンみたいに、連続テレビアニメ化とかになるともう少しゆっくり深く描けると思うんですけどねー。
杏さんの声、滑舌がよくて聞き取りやすいのですが、ちょっと一本調子な感じもしました。杏さんのせいと言うよりは、本来、サエはただの暗殺者みたいなキャラクターではなくて、もっと細やかな女性らしい内面を持ったキャラクターなので、この尺だとそこまで描けなかったんでしょうね、ちょっと残念。
あと、これもシンプルにする改変のためかなと思うんですけど、祭祀医がただの拝み屋みたいな表現になっていて、原作は病に対するアプローチの違いという描き方なんですよね。それはちょっとだけ違和感でした。

でも、見られて良かったー。本当は娘連れて行きたかったんだけどなぁ😅
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