ジョニーデップが製作、主役を務め、真田広之との共演という事で見てみたが、両者の絡みはほとんどない。実話と実在の人物をベースにしている問題提起型ヒューマンドラマなので、それなりに考えさせられる部分はあるし、水俣病を今一度調べてみるきっかけにはなる。
ただ、何十年にも渡る水俣病の戦いの中の、最後の裁判に至る部分だけなので、歴史的な深みや経緯が語られず、ちょっと表面的になぞっただけという感は否めない。映画なので時間的制約はあるが、アメリカの薬害訴訟を扱ったっドラマ「ペイン・キラー」に比べると力不足を感じる。
なぜ「チッソ」の排水による公害認定まで時間がかかったのか、戦前から続く地域と企業の繋がりはどうだったのか、チッソ社内での葛藤や人間関係はどうだったのか、どういう経緯で被害者が増えていったのか・・・などを深く掘り下げた日本のドラマを作って良いと思う。昨今のどれも同じような見せ方の中学生向けドラマしか作れない日本のテレビ界に、一石を投じるドラマにはなるかも知れない。
