しろくま

空白のしろくまのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.9
《ふざけやがって!花音を犯罪者扱いしやがって》
〝まさかお前も花音が万引きしたと思ってんじゃねえだろうな?〟〝そんなこと思いたくないっすけど、でも正直分かんないじゃないっすか。花音ちゃんだって…〟

お年頃の中学生。化粧品に興味がないってこともないと思うけど、だからと言って、スーパーの化粧品の棚の前で、マニュキアの瓶に触っていただけなのに、手首をつかんで引っ張っていくスーパーの店長って何者?会計を済まさないで店外に持ち出したのなら完全にアウトだと思うけど、商品を自分のバックに入れてもいないのに、万引き扱いって酷すぎない?突然引っ張っていかれたら、怖くて逃げたくなる気持ちも分からないでもないけど、彼女が逃げたことで、思いもしない事態に…。

あまりにも突然な娘の死。そのうえ万引き犯としての汚名まで着せられて…。少女の父親が、娘の無実を証明しようと、店長に事情を聴こうとするのは当然だし、いじめにあって万引きを強要させられていたのではないかと学校に情報を求めるのも理解できるけど、かなり激昂し暴走。歯止めがきかなくなって…。

なぜ、マニュキアの瓶に触っていただけなのに万引き犯と決めつけられたのか、彼女が何度も万引きをしていたのだったら分かるけど…。スーパーの事務所でどんなやり取りがあったのか。そんな空白のシーンが映し出されるのかと思ったらそんなことも無くて…。

少女を死に追いやった店長、万引き犯の父親というレッテルを貼って懲らしめにかかるマスコミや正義の使者気取りのネット民に袋叩きに合って大炎上。そして、悲劇が連鎖し更に最悪の事態に…。空白って〝空っぽで白々しい〟ほどの距離感のこと?

重く暗い描写が続くが、娘との空白の時間を埋めようとする父親。少しだけ救われるラスト。あれっ?まさか空白って空に浮かぶ白い雲のことじゃないよね。

気になるのは、店長が過去に痴漢をしていたという情報を校長が流したことに対し、その真偽がうやむやのままだったこと。もし、連れていかれたスーパーの事務所で店長から悪戯をされようとしたので逃げてたとしたら…。悪戯をしたのがバレるのを恐れて店長が車道に突き飛ばしたとしたら…。そんなシーンが、エンディング後に流れたら、そしてあのニタッて笑う店長のクローズアップで終わったら、ゾワーッてなるけどなあ。

視聴メモ:2023.08.04/112/図書館DVD
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