金宮さん

哀愁しんでれらの金宮さんのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
4.0
親子関係を呪縛にしちゃうと、とにかく大変なことになっちゃうぞ!

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我が子の狂信者たる父と継母の崩壊を描く、とにかく底意地が悪い作品。

田中圭さんサイドはわかりやすく血縁にとらわれ選民的な考え方になっちゃうやつで、このキャラは割とステレオタイプ。

でも今作では同時に血は繋がっていない土屋太鳳さんもダークサイドに落としてしまう。こちらは自分を捨てた母親を反面教師にし、理想の母親像にがんじがらめになってバグっちゃう。母親に捨てられるのはレアケースですが、「反面教師にする」は誰でも起こりうる。しかも、この映画で得られる1番の教訓ってまさに「ああならないように」の反面教師じゃないですか。意地悪!ああ怖!

こうやって別々のアプローチで親子関係を呪縛化してしまったパパママをさらに助長させる、娘のヒカリ。ヒカリは「子ども=純粋」をうまいこと利用し自分の都合のいい方に導く処世術を完全に身につけてますね。この処世術のターゲットにはパパママも含まれてます。

ある意味、将来有望なんですが、そこに選民思想も加わってるからタチが悪い。この処世術を害悪的でないサバイブテクニックに磨き上げるように親が教育しなきゃ。なんですが、盲信している田中圭、思考停止している土屋太鳳ペアはそんなことできるはずもなく、思わぬ手段で娘の味方になります。

この思わぬ手段が完全にぶっ飛んでるですが、ここをもう少し共感できるものにすることもできたはず。ああ、私思わずやっちゃいそう的な。でも、そうしなかった。ここも意地が悪いですねー。わかりやすいモデルケースは提示しません。ダークサイドに落ちてないかな?は自分で考えろ!ってことですよね。

「子どもに盲信しないこと、は教育なんならもっと手前のコミュニケーションに必須である」としっかり突き刺さりました。"俺も小春のこと知らないしなあ"と娘に面と向かって言える石橋凌パパのスタンスを多少は見習わなきゃね。

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・というわけで、ヒカリ役のCOCOさんがおっそろしい演技してます。当時、小学生のキッズインスタグラマーなんですね。前述した処世術を芝居に昇華させていて素晴らしいです。

・最近「mellow」で田中圭さんにハートを撃ち抜かれた私としてはもうオロオロしています。もしそんな方がいたら「ヒノマルソウル」で今作のパパママが本当に素敵な夫婦を演じていますので、それ観てバランスをとりましょう。
金宮さん

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