真世紀

死霊のはらわた ライジングの真世紀のレビュー・感想・評価

4.2
あの「死霊のはらわた」のリブート版。本邦では残念ながら劇場上映スルーも有って、そんなに期待しないで観てみたら、いやはや、いいじゃない!

冒頭、シリーズの定番、僻地に立つ小屋での悪霊にとりつかれた女が引き起こす惨劇から始まる。このまま行くのかと思いきや、舞台は大都会ロス。とある老朽マンションへ。

かつては銀行だったというビル。そこに暮らす姉一家の元に妹が訪ねてくる。妹はギター調律師、バンドに帯同するスタッフだけど、家族からはグルーピー扱いされ、大分傷付いた過去がある模様。東南アジアツアーから戻り、姉から浮気夫と別居したと知らされる。

ロスを地震が襲い、たまたまピザを買いに出ていた姉の子供三人と遭難。一部、床が崩れた駐車場のさらに下層、かつての銀行の地下室が有り、やんちゃな長男が潜入。そこに有った古めかしい本とレコードを持ち帰ってしまう。

その本はかつてカトリックの神父らが発見するも、ヤバい事態が発生で銀行に封印したあの「死者の書」。レコードは密かに研究に取り組んだ神父らの遺した音声記録だった。レコードにはあの呪文が詠唱されるところもバッチリ収録。再生されたことで悪霊が到来してしまう。

舞台こそ、オリジナルから大都市へと移してもオリジナルにあった諸々の描写を取り入れる。例えば冒頭では小屋で取り憑かれて、気分が悪いと床についている姉が、少し離れた場所にいるのに妹が黙読する『嵐が丘』のまさに目を通している箇所を急に朗読し始める。オリジナルではカード当てだったはず。

他にも宙を飛んだ眼球をぱくりと呑み込んでしまうくだりの再現やら、オリジナルでは蔦だった四肢に絡みつく紐状のものを別のものになど、アレンジも効かせつつ、あー、これ、有った有ったと色々とニヤリとさせる。

オリジナルではアッシュと共に小屋を訪れた恋人、友人が互いに傷つけあい、殺し合ったがこちらでは同じフロアーに閉じ込められた住人の皆さんも登場するけど、基本、姉と妹、母親と子供という家族親族間の殺傷がメインとなり、人間関係の面ではオリジナルと差別化。

母親の変貌、襲撃、そしてと、思いの外、ティーンズにも容赦ないのであった。

あまりに楽しく、そういやこちら、完走してなかったなと、この数日はオリジナルから引き続きブルース・キャンベルが主演するドラマ版続編「死霊のはらわたリターンズ」を最初から観なおしているぐらいなのであった。
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