ワンコ

猿の惑星:創世記(ジェネシス)のワンコのレビュー・感想・評価

4.2
【シーザーの物語①】

「猿の惑星 創世記(ジェネシス)/Rise」は1968年「猿の惑星」とは全く異なる物語のリブートとなる作品だ。

アルツハイマー治療薬を開発する過程で後の「猿インフルエンザ」なるウィルスを生み出すことになってしまったという展開は、武漢にある研究所か新型コロナウィルスが流出したとされる話と符合するようで実は斬新だったんだと今更ながら考えたりする。

実験用の猿の利用、家畜の屠殺など現在は残酷さを可能な限り回避するよう考える方向性にあるのだと思うが、この作品が制作された当時、現在ほど話題になることは少なかったと思うし、このポイントも何だか一歩先を行っていたように思える。

管理し、イージーな殺害も気にしない人間。
同じ種で殺し合いをする動物は人間だけだ。
戦争や紛争に対する皮肉も交えて、生存する場所を変えることで両者がお互い干渉し合わないようにしようと考えるのは、ある意味、分断を容認したようでもあり、しかし、それはささやかで非現実的な希望に過ぎないことを僕たちはこの時既に知っていたのではないのか。

この作品はシーザーの成長と、人間との決別の物語であると同時に、人間の愚かさを知る作品でもあるように思う。
ワンコ

ワンコ