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巴里の屋根の下 4K デジタル・リマスター版のkojikojiのレビュー・感想・評価

3.5
デジタルリマスター版で見始めたら、画質が悪く、途中でやめて、4Kデジタル・リマスター版を探し、観直した。
4Kで観れるならそちらを選んだ方がいい。

ルネ・クレールがトーキーを手がけた第1作。と言っても、台詞は極端に少なく、半分トーキー、半分無声映画の印象だ。
フランスのトーキーの幕開けも本作とのこと。

舞台はパリの下町。始まりは題名通りパリの軒並みを高い位置から見せて、次第に下の方に視点が降りていくと、狭い街路の真ん中で歌手が歌を歌い、周り集まって人達も一緒に歌っている。彼はその歌の楽譜を売って小銭を稼いでいる。
本編の主人公アルベール(アルベール・プレジャン)だ。

歌いながら客を見ていると、綺麗な娘から今にもスリが財布を盗もうとしている。しかし彼女はそれに気づかない。彼女の名前はポーラ(ポーラ・イレリー)。
盗まれた財布を取り返し、アベールは彼女に落としたものを拾ってあげたようにして返してあげる
これが二人の出会いだ。

この時点では彼女には恋人がいる。この恋人はゴロツキのフレッドで、最後まで物語に絡んでくる。
この映画はこの二人が織りなすロマンチックコメディだ。

ストーリーは単純だが飽きさせない。
ただ残念なのは心の「ひだ」みたいなものが全くと言っていいほど描かれていないので、好きなったり、嫉妬したり、嫌になったりの展開が極めて単純なのだ。このあたりは現代のロマンチックコメディに比較すると相当落ちる。

表情が台詞がなくても何を言いたいのかわかるような演技出ないのも気になった。
(つまり何を考えているのかわからない表情が多い)
視線が誰を観ているのか、いつそれを捉えたか簡単にわかるようなショットになっていないところも気になった。これは今考えるとかなり気になった。

ただ言葉も少なく単純なところが逆に映画全体はほんわかと仕上がっいる印象でこれがいいのかもしれない。
結構楽しく観れた。

アルベール・プレジャンが繰り返し歌う「巴里の屋根の下」が耳に残る。

#1933 2023年465本目
1930年 フランス🇫🇷映画
監督: ルネ・クレール
音楽: Raoul Moretti、 アルマン・ベルナール、 ヴァンサン・スコット
主題歌: アルベール・プレジャン「巴里の屋根の下」
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