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デューン 砂の惑星PART2のRenzのネタバレレビュー・内容・結末

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

凄い映画。圧倒的なビジュアルとスケールの大きさ、ズシンと響く音響、造り込まれた世界観に、監督の美的センス溢れる演出。
チャニ役のゼンデイヤを代表としてキャストたち皆素晴らしい。
それらを観に行く価値はありますのでおすすめ。
まあ、ネタバレ感想なんで観てることが前提なんですがね😅。

ハルコンネン男爵が風船のように宙に浮くところや、白黒花火など、面白い映像もあったし、アニャ・テイラー=ジョイがポールの妹の成長した姿でちょっとだけ出たり(ここで3作目やると確信)。
バウティスタ(ドラッグス)とジョシュ・ブローリン(サノス)の対決だったり。
オースティン・バトラーのキャラがヤバそうなやつとして登場したのに、何気にちゃっかりレア・セドゥの誘惑に負けてたり。
どんどんポール信者となっていき、その度合いはおかしな領域になっていて笑える、ハビエル・バルデムの過剰な盲信セリフ。
そんな面白いと思ったシーンも確かにあります。

でも、いくつか不満もあります。主人公の変化が急なところ。そしてカタルシスを感じないところ。作風に美術センスはあるものの、どこか遊び心、ユーモアみたいな感じがないところ。

原作では映画と違い、本作の時期は前作から数年後、ポールの妹は生まれていて、ポールとチャニの間にも子供がいるのです。その子供がハルコンネンに殺されることが戦争する覚悟を決める源動力となるわけです。
そこがないので、主人公が覚悟を決める流れが弱く、唐突に性格が変わったように観えてしまった。
ちびサンドワームから作った謎の液体によって覚醒し、おかしくなったレベッカ・ファーガソン演じるポールの母親(前作では母親キャラなのにやたら色っぽく感じた不思議)が信者を束ねる存在になっていき、主人公もその液体を飲んだ事で覚醒し、未来と過去とアニャを視て、おかしくなっていきます。
闇落ちに近いです。ハルコンネンの孫だと分かったからって、急にそっちに寄せなくてもいいのにね。

チャニからしたら、信じて送り出したポールが即落ちで脳破壊🤯だよ。
ハッピーエンドではなく、バッドエンドといってもいいんじゃないかという後味の悪い終わり方です。

そんなこんなで戦争になだれ込むので、カタルシスを感じないのだ。原作でも続編の展開で、救世主物語ではないことが分かるわけだけど、本作はこの時点で、救世主物語ではないと分かるので3作目をやること前提や。

あとやはり戦争、戦闘シーンが何故かワクワクしなかったのもある。淡々としている。
それに、何か遊び心がないというか、マシュー・ヴォーンほどコメディ感出せとは言わないけど、例えばスター・ウォーズにはユーモアがあったと思います。そのEP1〜3が主人公が闇落ちして終わる話なのに、遊び心やカタルシスはあったと思うんだけどね。

とはいえ上記は不満点といっても、好き嫌いの範囲だとは思います。
ノーランもそうだけど、最近のアメリカでウケるのは、たとえヒーロー映画やSF映画もクソ真面目に撮ってしまう監督なんすねえ。
ノーランもヴィルヌーヴも嫌いじゃないけど、ちょっと真面目すぎかなあ。
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