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機動戦士Zガンダムのおはうちのレビュー・感想・評価

機動戦士Zガンダム(1985年製作のアニメ)
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鑑賞当時2019/08/23

こんな突き放した終わり方をされるとは思わなかった。戦争が背景にある程度で、趨勢を描かない作風なんだね。シロッコに関してはイマイチ思想が分からない、何で巨悪と設定された。

ハマーンが出る頃合いになると面白いが、持続した面白さは保障されない。不思議なのがクリフハンガー形式的な面白さには無頓着なのに、背景にある戦争の存在で連続性のあるシナリオの体裁に仕立てている点。しかし、背景の戦争の存在は巨大なのに個人のドラマの主張の方が強く出ている。

例えば、一つの作戦をしている間に起こる個人間のドラマの伴った戦闘が大きく占めており、個人間のドラマに区切りが付いたら、進行中だった作戦も知らぬ間に終わっているなど、結局は全体では何をしているのか分からない塩梅なのが多く、戦況という巨視的な視点の描写には欠ける。

巨視的な視点の占める割合が弱いため、戦争をしている全体の世界は見辛い。微視的な視点だと戦場に居る兵隊の狭い視野しか映されない。前作『機動戦士ガンダム』が戦争する相手の感情が表出される点がリアルだったが、続編だと個人の厄介な感情に左右される微視的な視点がリアルになっている。

クライマックスで、バタバタと主要な人物が死んでいく作劇は、TVシリーズの尺に見合わないスパンで死んでいくため上手いとは思えなかった。ヤザンがキッカケでドミノ倒し的に死んでいく様子は良かったか。F91だと趣味で人殺しを楽しむ余裕があって、その悪趣味がプラスだった。



49話「生命(いのち)散って」
戦死者が続出するため否応無く記憶に残る。TVシリーズの構成のせいで良くも悪くもキャラの寿命が果てる瞬間のシワ寄せが目立った構成の話とも言える。ヤザンの悪党としての指数がグングン上がるのもシワ寄せのおかげに思える。

ジュリドの死に方が凄いよね、ピタゴラスイッチつーか。爆発する艦に巻き込まれてしまうのよ。ライバルキャラのポジションに立っていたのに決着の瞬間に熱が全く込められない。エリート気取りのヤンキーから多少は成長しているが、何も成果を残せないし、仇を討つ事も叶わず、何も出来ないただの兵士。

『機動戦士Zガンダム』のシナリオ構成には難があると思っている。それは、シナリオのシワ寄せが顕著に現れているためだ。特に49話の主要なキャラが死ぬ事で戦いを連結させる所にシワ寄せを感じざる得ないが、それこそ長所とも思えて仕方ない。49話まで温存したキャラを殺して殺しあう混戦ぶりこそが長所。

シワ寄せの代表話が48話「ロザミアの中で」だろう。サイコガンダムMk-Ⅱの初登場で、ロザミア関連のシナリオの決着、『機動戦士ガンダム』から続く強化人間が悲劇のヒロインになってしまう件などが、最終回の2話前で集中的に起きてしまいシナリオの流れから変に浮き出た回になった。※批判じゃない。
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