浅野公喜

あしたのジョー2の浅野公喜のレビュー・感想・評価

あしたのジョー2(1980年製作のアニメ)
4.5
今アマゾンプライム等でも観れる、前作から10年程経って作られた続編。と言っても、前作の最終回からの続きではなく力石戦直後から話はスタートします。40年程前の作品ですが、これを毎週放送していたのかと思う程のその古さをあまり感じさせないクオリティの高さには驚きました。

制作時期に合わせ時代設定も新しくなり、ジョーは更にスターダムを駆け上り、段平のおっちゃんも時に似合わぬ背広を着て(笑)ハワイに遠征したりパンとコーヒー飲んだり新しいジムを建設したりしますが不器用に、がむしゃらに戦い続ける彼らの情熱は不変。

そこから滲み出る、前作には有った泥臭さがより大人っぽくなったキャラクターデザイン、出崎氏主導による洗練されすぎた作画や演出(静止画、光る吐瀉物に光る目、画面分割や繰り返し、入射光)やフュージョン風のBGMにより希薄になった印象も有りますが、ジョーの孤高、生き様はより胸を打ちます(孤高に関しては、西とのりちゃんの結婚や、守るべき家族が居るライバル、ホセ・メンドーサの「死ぬ事が怖くないのか?悲しむ人間が一人も居ないのか?」の問い等でより際立ちます。ついでに言えばロッキーにもエイドリアンという伴侶が居ました)。

ジョー以外のボクサーの人生もきちんと描かれており、中でもカーロス・リベラと過ごすクリスマスイブを描いた10話、そのイブと同じように雪が降る演出を含む二人の再会を描いた39話は特に印象的で、後者に関してはジョーの未来とも言えるカーロスの姿がとても悲しく切ないです。

劇中にはセイコ・マツダ「青い珊瑚礁」やナオコ・カワイ「ヤング・ボーイ」、ジョウジ・ヤマモト「みちのくひとり旅」等80年81年当時のヒット曲も流れます。
浅野公喜

浅野公喜