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妄想代理人のZnGaGeのレビュー・感想・評価

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
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2023年14本目
病んだ社会が作り出した怪作


荒唐無稽のフィクションが物語の力を使って現実世界の問題を鋭く指摘する。この作品からは『V フォー・ヴェンデッタ』の「…小説家は嘘で真実を語る」というセリフが思い起こされました。
あくまでも娯楽作品・エンタメ作品として視聴者を楽しませながらも、自分の作家性を殺すことなく堂々と主張する。今敏監督のこのバランス感覚は目を見張るものがあり、個人的には『千と千尋の神隠し』に似たものを感じます。(もっとも『千と千尋の神隠し』が優しく諭してくるような感覚なら、こちらは椅子に縛り上げられて目を閉じないようにした状態で無理やりエグいビデオを見せつけられたような感覚でしたが笑)

2004年の作品ながら現代の私たちにも通ずる鋭い批判に胸が詰まる思いです。スマートフォンの画面から容易に大量の娯楽にアクセスできるようになった現代は「まどろみの世界」と私たちがかつてないほどに接近している時代と言えるのではないでしょうか。
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ZnGaGeさんの鑑賞したアニメ