よつ

平家物語のよつのレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
5.0
初めてアニメでうるっときた…。凄いものを見てしまったなぁ…。

一枚一枚、絵のようにアニメーションが美しい。季節の花々も綺麗だし、何より抜けるような空の色が本当に綺麗で、実際に当時の空を見ているように錯覚した。風景、人物の心情によって見えている風景が変わるのもすごくよかった。特に戦場、繰り返し使われていた落ちる椿の花、水面のシーン、大人びわの弾き語りシーンが印象的。

柔らかい線で生き生きと描写される平家の人々が…。より一層彼らの運命に悲哀を感じて、分かってはいるんだけど、辛かったな…。あんな風に叙情豊かに、長編アニメーションで表現できるものなんだな、と…。その柔らかさを維持したまま平家滅亡へ進んでいくのがつらかった…。いや、でも本当に良いアニメだった。

琵琶の音色、語りと共に進行していくのもとても良かった。びわの存在が今生きる私たちの目線と重なって身に迫るものがあった。
羊文学聞くだけで泣いちゃうわ…。歌詞がびわ、平家の運命を知る者目線すぎて…。
「あの花が落ちるときその役目を知らなくても
側にいた人はきっと分かっているはずだから」
「混沌の時代に泥だらけの君のままで輝きを見つめていて
悲しみに向かう夜も揺るがずに光っていてよ」
この歌詞、特に好きだな〜。祈りとか、切望みたいなものを感じてしまう。

平家物語を雄々しい、どちらかというと男性的(こんなこと言っちゃダメかな?)な一門滅亡の物語として捉えていて、出来事だけを今まで追って学んできたのだけど、このアニメ「平家物語」はあの時代を生きた人々のことや、生活や風景に思いを馳せてしまう作品だった。本当に見ることができてよかった。そうだよな…。彼らは確かに生きていたんだもんな…。
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