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THE DAYSのyumikoのレビュー・感想・評価

THE DAYS(2023年製作のドラマ)
4.0
「チェルノブイリ」を鑑賞し、日本国内で起こったこともしっかり知っておきたい。ということで、こちら。東日本大地震で津波により全電源を失った、福島第一原発事故の一部始終。全8話。

まだ、12年前のことだしもういい大人だったので鮮明に覚えてますが、報道されていない現場の過酷な状況を知ることができました。

最悪の場合、チェルノブイリの10倍以上の放射線が放出され、北海道と西日本以外はこれから数十年人が住めなくなる。5千万人の人が家を失い、相当数の企業が移転を余儀なくされ、日本の経済活動は数年に渡り機能停止。こんな可能性があったという事実。

チェルノブイリではあの人が起こした悲劇、に対して福島原発はあの人が最悪のシナリオから救った…という印象を受けました。

原子力を持つということの深刻さ。恩恵ばかり受けている。この事実をしっかり知っておくべきだと確信しました。忖度とかで放送できそうにないだろうな。




こちらあらすじメモ。長いのでスルーしてください。

地震発生直後は非常電源で原子炉は正常停止されてたが、津波をうける。非常用電源も水没し、中央管理センターの計器も全て停止。
原子炉がどうなっているかわからないという状態は、スリーマイル島でもチェルノブイリでも未経験ということに、背筋が凍る。

津波により道路損失、救援は来ない。通信手段は衛星電話6台のみ。モニタリングポストも損失。

先回りして指揮を取る吉田所長。
所員からも車のバッテリーを繋いでみる案とかどんどん出てくる。とりあえず津波を被っていない使えるものをかき集めて最善を尽くす。

それに対して、情報がないことにやじを飛ばしたり、総理大臣が報告者を恥ずかしめるほど罵倒する、政府の対策本部のダメダメ感。総理大臣の態度が本当にひどい。

状況が把握できてないのに質問攻めにし、頭ごなしに怒鳴り散らす。それに対し、唯一、断固とした態度で対応する吉田所長。

放射線管理区域内まで入り込んだ海水。真っ暗で余震も度々起こる中、線量計を見ながら進む恐ろしさ。でも核燃料が溶け始め、立ち入れなくなる前に吸水用の弁を開けておくのです。ベテランの職員の知識あって線量が上がるギリギリ完了できる。

そして一号機の圧力上昇。爆発して高濃度放射能漏れになる前にベントでガスを放出しなければならないが、電源がないので手で開ける必要がある。線量の高い場所に、若いものには行かせたくないと、この任務を買って出るベテラン職員。

一方、また足を引っ張る官邸。なんと首相自ら福島へ行くと言い出す。本当にこれは腹が立つ。防護服は所員のために使いたいのに!!お出迎えや説明をしている場合じゃないのに。

俺たちが思考停止すれば福島は人が住めない街になる。という吉田所長。

そして水素爆発。

派遣された自衛隊のいかなる要請にも応えるという頼もしい言葉。でもせっかく敷いた注水用のホースが破損し、やり直す必要があるが、この時点で量に限りある真水は諦め海水を使う方法を探る。が、海水注入に対して、政府対策本部は揉める。海水注入をとにかくやめろという命令。それに追い討ちをかける、電力不足の危機。計画停電しなければブラックアウトの危険性もあるのに、政府は計画停電すら認めない!!

官邸の命令に反して海水注入を続ける現場。命令違反で処罰だが、現場は所長の判断が正しいことをわかっていて、それを見ている。だから命をかけられるという職員達。

それでも容赦なく次から次へと襲いかかる困難。1号機から4号機まである絶望。圧力もぱんぱん、職員の被曝限界値もぱんぱん、水は入らない!

そして2回目の爆発。重症を負った人々が汚染され担ぎ込まれる。測定器の警告音が鳴り響き、地獄絵図。

それなのに、ネットの掲示板や報道番組でどうしょうもないデマが、飛び交う。ワイドショーの無責任な発言も、デマを真実ように拡散してしまう。

そしていよいよとなり、所員の危険も考慮し一部の人間を非難させて欲しいというげんばの要請を、完全撤退要請と勘違いし激怒する総理大臣。不眠不休で命をかけて対応している人々に対し、「命懸けでやれ!」と浴びせる総理にはらわたが煮えくりかえる。

その後、消防車の専門家が駆けつけてくれたり、建築用のコンクリートを流し込む特別車両を手配したりして、最悪の状況を脱するのです。

その後、癌を発症し吉田所長は亡くなります。しかしこの体験を「吉田調書」として残してくださいました。
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