このレビューはネタバレを含みます
沼とは聞いていたけど、見事にハマってしまった。
1人の人間の一生をきっちり描ききって、かつ全50話の全てのエピソードに納得、魅了させられたのが、すごかった。
とにかく松山ケンイチが良い。特に中盤。「おもしろきこと」を思いついた時の顔が心底ワクワクしててチャーミングなおかげで、その後の強引なやり方にも妙に説得力があった。烏帽子と狩衣姿も最高(中井貴一も超絶似合ってた)。
脚本と演出も濃密で良かった。特に終盤、清盛が福原で頑迷で孤独な老人となり果てた辺りから、還都を決心するまでの演出には息を呑んだ。沈鬱で悲壮感があって、かつ耽美という。
そして最後、清盛が久しぶりに剣の手入れをしながら盛国と語らい、時子も一人うっとりと源氏物語を読む場面は、個人的にはクライマックスだった。
カメラの構図が一つ一つ素晴らしく、例えば絵巻物のように高い位置から御簾越し撮ったり、平家一門が並ぶときは棟梁の背中越しを定点的に撮っていて、忠盛→清盛→重盛→宗盛という世代交代と実感できたり。
平家一門の業と愛すべきところが凝縮されてる「平家納経」の回が大好きだったので、いつか厳島神社に行ってみたい。