とにかく大河らしい重厚な合戦や宴会シーンと、キャストの豪華さを堪能した。
鎌倉炎上後の尊氏や右馬介の空虚な気分が、その後の展開にも影を落としてて、かつ南北朝時代の難しさもあって、複雑な味わいになっていて、これが良かった。
すごいカリスマ性がある訳では無さそうなのに、皆がついてきて倒幕まで行っちゃう足利尊氏だけど、真田広之の誠実そうな演技のおかげで納得させられた。乗馬や殺陣も当然かっこいい。
90年当時の人気俳優たちも興味深かったけど、フランキー堺や藤村志保、緒形拳など、昭和の名優たちが見られたのが良かった。
特に藤村志保のおっとり朗らかながら、きりりと品のある感じは唯一無二。沢口靖子演じる尊氏の妻が孤独を漏らす場面でのやり取りが心に残る。
フランキー堺は小声でもしっかりセリフが聴こえて、悪だくみする姿まですごい様になる。
そして、片岡孝夫の後醍醐天皇が眼福。重厚だけど温かみもある声が良かった。
演出がなんとうか後期の黒澤明っぽいというか、舞台的な感じ? 特に猿楽が要所要所に出てきて、尊氏の人生と併走しているのが面白かった。