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武則天 秘史のMMMMerのネタバレレビュー・内容・結末

武則天 秘史(2011年製作のドラマ)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

これは最後まで見たのですが、面白いかどうかで言うとまあまあ面白い所と全く面白くないところがあるイメージです。
途中で「見てられない」って脱落する中国ドラマも割とある中で曲がりなりにも最後まで見たからまあこの位の点数でしょうか。(途中スキップしながら見たりもしたけど)

主演の武媚娘の少女時代からを演じるイン・タオさんが「この人って美人かな」って一瞬思わせるようなところもあるのですがとてもセクシーで良かったです。

ファン・ビンビンさんの「武則天」もこれより前に見てるのですが、ある意味こちらの武媚娘の方が、リアルな感じ息遣いを感じました。

ファン・ビンビン版の武氏は最初あまりに聖人でそれが何で色黒チビザルな上性格も微妙な太宗にあんなに夢中なのかも率直に分からないし、その後の高宗も率直に言って微妙な顔で簡単に言うなら愚かだし…なんか媚娘の人物像の聡明さと変な男に執着しちゃうバランスがいまいち理解できませんでした。最後までそんなに腹黒くはなかったけど、生き延びるために仕方なく術策を弄していった・・・ということなんでしょうけど結局何で武則天が生まれたのかは最後まで見ても釈然としなかったです。

この秘史では武媚娘は少しユニークな考え方をする普通の頭の回転の速い女の子で、悪い子ではないですが別に聖人でもない。普通の女子が予言のせいで何度も窮地に陥る。太宗とは男女の関係ではなく高宗のことを本当に愛する・・・という流れも飲み込みやすい。
何度も死線をかいくぐりますがそのかいくぐり方がものすごくて根性が半端ない。天性の美貌と色気はあったのでしょうけど、普通にないユニークな発想とこの生きることへの執着とド根性みたいなのがただ事じゃなく「ああ、この人には李家は勝てないでしょうね」みたいな気持ちになってくる。

冷徹な一面があるのは間違いないですけど、情もあるし勤勉でもある。政治手腕も確かでこの人が女性でなければ、こんな悪女みたいに言われることはなかったんじゃないか。
この女性なりに夫を愛して民を愛して誠心誠意努めた結果、身内に裏切られて孤独になっていく様は哀れでもあり、それがある種悟ったように最後に女皇帝となる様はすがすがしくもあったかなと思います。

ひとたび武媚娘が皇后として力をふるい始めると、みんなが口をそろえて「妖女め大唐帝国を李家に返せ」と言いだし、更に言い続けるのですが、本当は李家がどうとかじゃなくて女なのが気に入らないんでしょうね…って言うのはある意味「男社会で女性が力を持つと疎まれる」という現代にも若干続くテーマのように感じました。
実際セリフにも何回も「女人ごときに」的なフレーズが出てきます。
最後の最後に味方になったのが意外な人物だったことにも、同じ様なテーマ性を感じました。

ひとつ勿体ない気がしたのは、3人の女優さんが武則天を演じるのですが、青年期と中年期を演じる女優さんの感じが凄く違ったこと。
青年期の武媚娘は本当にコケティッシュで、何があっても割と涼やかさがあるというか。泣き叫ぼうが何しようが、どっか死を恐れない人間の根性の座った感じがあって、そこが魅力だったのですが、中年期の武媚娘は別人のように賢妻・賢母であろうとする、とても理知的な人柄になり、青年期のどっか半分夢の中にいる様な雰囲気はなくなります。
それを人間としての成長・変化ととらえることもできるのでしょうが、老年期の手前までは同じイン・タオさんで行ったほうが一人の女性の一生を見守る話としてはよかったんじゃないかと思いました。

というわけでなんやかや最後まで観ましたけど、ホントに李家の男たちがそろいもそろってしょうもなくて(何気に一番ムカついたのは高宗だけど)、それが何気に見続ける原動力になりました。
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