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ハンドメイズ・テイル/侍女の物語 シーズン5のdojiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

セリーナの出産シーンはこれまで観てきたいろんな感情が押し寄せてきて泣いてしまったけれど、はっきりとジューンが「あなたは友だちじゃないし、許してもいない」と告げるところは、女性はすべてallyとしてしまうような神格化を避ける展開としてすばらしい判断だと思う。そんなに単純にはいかないことを、簡略化せずに描く意志を感じる。

ルークとともに過ごす時間が長いシーズンだったけれど、ジューンがレジスタンスを率いるほどの影響力を持った時に、夫として妻を守る、という男性性の保ち方がいかにあやふやなものか、それを見せつけるのが最後の逮捕の展開でもあって、ずっと歯痒さがあったであろうに、最終的にかなり難しい立場に追いやられてしまったのは気の毒でしかない。これもあの状況の夫や男性をそのまま描き切る意図を感じた。

ニックとのi love youもきっとリアルで、ジューンはルークもニックも愛すことができる一方で、ニックは結局のところジューンのことしか愛せなかった。女性と男性の違いとして一般化してはいけないし、それをふたりの人間の違いとして描くのもいい。とにかくぜんぶ誠実だなあと思う。

ジューンたちの視点でずっとものがたりを観てきたなかで、どこかカナダをユートピアのように感じてしまっていたけれど、そんなはずもなく、暴動の中で銃弾が放たれ、暗殺が行われようとする過程にはぞっとする。こうして人は難民になるのだろうという恐ろしさがありありと感じられて、胸が張り裂けそうだった。

ラストでセリーナと再会するシーンにはもう拍手だったし、ビリー・アイリッシュが流れはじめてジューンがにやりと笑ったあとに「directed by elizabeth moss」と出てすごすぎると唸った。
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