ハニルくん

Infinitum: Subject Unknown(原題)のハニルくんのレビュー・感想・評価

3.1
イギリスのSF映画。コロナ封鎖中にアイフォンだけで撮影されたということで、人がほとんど出てこない特殊な作品。SFというよりも実験映画的であって、量子力学の世界の物質のあり方は、あらゆる可能性が同時に存在しているという状態である、という論をそのまま映像化しようとした。ヒロインのジェーンは、平行宇宙に閉じ込められた状態で、彼女がそこから脱出を試みるという筋書き。認識によって素粒子の位置が決定するという論理のように、彼女は現実を自ら選択できることに気づいていくわけだが、その感覚は、私たちの夢の中の状況によく似ていると感じた。イギリスの田舎は美しく、アイフォンの映像の美しさには感嘆する。夢の中のような不思議な気分が味わえることはよかった。