ぷかしりまる

映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝のぷかしりまるのレビュー・感想・評価

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全体的に良い映画であるけれど、屁の使い手忍者の演出が最悪だった。発想は面白くて、扇風機で悪臭を送り返して戦うのも笑えるが、放屁の効果音が下劣すぎる。イヤホンで聴いてて不快だったし、劇場のスピーカーでブビブビかかったことを考えると下劣極まりない。
小津安二郎監督作「お早よう」が名作オナラ映画たる理由は、放屁の効果音のユーモアにある。確かチューバの音だったかしら?監督が納得が行くまで何度も録り直しさせたらしい。キュートな品のある演出で大好きだ。
https://www.youtube.com/watch?v=pStX-8DULvs

劇場版のクレしんはB級グルメ(うえのきみこ脚本)以降、みさえの立ち位置が変化したり、みんなで助け合うラスト(包括性〜)になったり社会問題が組み込まれるようになってきてとても素晴らしいと思う。今回は才能がなくてもあなたはそのままで愛されてるんだよ…っていうディズニーみたいなテーマが軸にあって、みんな違ってみんな良いし補っていこうという話だ。才能や性別、血縁関係というしがらみからの解放なども描かれている
しかしそれとは別に、ギャグとして正直面白くなくなってきている(しんちゃんのからかいとして現れるブラックジョークの鋭さがないんだと思う。コンプラへの配慮?)。それでこのリアルな放屁音という安易で下劣な演出に頼る感じ…。そこに何の疑いも持たれず映画が作られてしまったことに、お笑いとしてのクレしん映画をこの先不安に思う。ラクガキングダムではパステルカラーのうんこが使われてたし(うんこの面白さに頼ってるくせににうんこを否定していてムカつく)

野原夫婦としんちゃんとの感動の再会の場面で、野原夫婦がゴリラを動物化してしまったしんちゃんだと思って抱きしめるところ(その後ゴリちゃんだけじゃなく、しんちゃんとシロとひまわりも含めて抱き合うところ)は愛に溢れているし面白くて笑いながら泣いた。
しんちゃんのパジャマが風に煽られて飛んでいく印象的な場面も伏線になっていてひとしお