ぷかしりまる

事の次第のぷかしりまるのレビュー・感想・評価

事の次第(1987年製作の映画)
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冒頭、グレーの衣装をまとったバレエダンサーが踊っているように見えたので、それが回転するごみ袋だと分かった瞬間に虚を突かれた。ゴミ袋がタイヤにかすれる瞬間や、もったりと進む泡に対して、わずかな力であっても違う物どうしがふれあい動き出すことに喜びをおぼえたが、次第に不安になっていった。ひとつは無価値な物が自らの意志を持つように見えることへの不気味さである。特にタイヤが上に登っていくところは、自由意志で(自然法則にそのまま従わず)動いているように見えたのだが、それが連鎖の過程にあることには、運命づけられた哀愁がある。無価値に見えた物たちと、(価値のあるように見える)人間の姿が重なったことに対して、気まずさや不安を感じた。