タキ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのタキのレビュー・感想・評価

4.0
劇場でたったひとりだけウケにウケてる人がいて幸せな映画体験に強烈な羨ましさを感じた。いやこの映画、面白くないわけではない(次々と繰り出されるギャグが自分とは合わなかっただけだ)しっちゃかめっちゃかに見せて計算され尽くした脚本と混乱と秩序のバランス感あふれた編集技法に感心しきりだった。家族の再生という使い古されたテーマとこれまたベタな道徳映画に使われがちの「人に優しく」をこのものすごい才能で昇華して見せてくれた。
キャスト陣のわかりやすい美しさで売ってないのも逆にカッコよかった。ジェイミー・リー・カーティスのボディメイクは誰だか分からないほどだし、ミシェル・ヨーの疲れたオバさん感はリアルだし、ステファニー・スーの重量級の存在感たるやマルチバースのラスボスにこれほどぴったりな人物がいるだろうかとワクワクした。ミシェル・ヨーがかつてアクション女優だったことや(マルチバースのエヴリンの女優人生はまさにミシェル・ヨー自身のもの)やかつてグーニーズ等で人気を博していたキー・ホイ・クァンがハリウッドで再評価されたストーリーを知っていればさらに楽しめる材料になる。あと地味にダメージを受けたのが「レミーのおいしいレストラン」を見てなかったことだった。これからエブエブを見られる方には絶対予習をオススメする。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」強烈キャラたちのキャスティング秘話 あらすじ・キャスト・トリビア 。https://eiga.com/news/20230310/19/
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